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2022年04月09日08:14

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最近観た映画

 3月31日の木曜、
 「ヴォイジャー」。
 この映画、当初は見送り予定だったのだが、予定を変更。仕事を少し早めに切り上げ、イオンシネマ座間のレイトで観賞。

 これは、「ダイバージェント」のニール・バーガーによるSF映画。
 出演は「レディ・プレイヤー1」のタイ・シェリダン、「ダンケルク」のフィオン・ホワイトヘッド、ヒロインはジョニーデップの娘であるリリー=ローズ・デップ。30人の若手俳優の中、ベテランのコリン・ファレルがひとり奮闘している。

 近未来、地球温暖化による飢饉が人類を襲う中、2063年に移住可能な惑星が発見され、探査隊を派遣することになる。航行にかかる期間は86年。恒星間宇宙船ヒューマニタス号の乗員は、30人の子供たちと、彼らの教官リチャードだった。子供たちは船内で成長して子孫を残し、惑星に到達するのは孫の世代となる予定だ
 出発から10年。青年期を迎えたクリストファーとザックは、毎日飲む薬によって、自分たちの欲望や感情が抑制されていることを知る――薬の飲用を拒否し、本能の赴くまま行動するようになった彼らは……

 この映画、宇宙船内の密室サスペンス――故郷も目的地も遠く、何処にも逃げ出せない閉鎖空間の中の物語――「2001年宇宙の旅」のような物語になるし、やりようによってはハードSFにも、本格サスペンスにも出来る設定、だが、この映画、登場人数が多すぎる。このジャンルの名作、「2001年宇宙の旅」ではひとり、「パッセンジャー」でもふたり……さすがに、31人と言うのは多過ぎるだろう。
 閉鎖空間に社会の縮図を作る、と言う狙いは判るとしても、主要3名以外の人物像を作り込めておらず、群像劇にもなっていないのだから、その狙いは外れてしまっているように思うし、86年と言う長期の旅路で、人が活動しているだけで、空気や食糧などを無駄に消費するだけだから、恒星間航行中ともなれば乗員は人工冬眠させる、と言うのがSFとして定石のはず。その上で、限られた人数のドラマとすべきだし、先達は全てそれを踏襲して来た。その定石崩しをしたいと言うのも判らなくはないが、この物語で、その定石崩しをする、説得力のある描写は出来ていないように思う。
 むしろ、乗員の大半は人工冬眠中で、その中で航行監視役の数名(多くても10人程度?)に絞り込んだ方が、ドラマも濃くなったのではないだろうか?
 現状では30人と言う人数、宇宙船内と言う状況の何れも活かされておらず、まるで出来の悪い学園もののようなドラマになってしまっているのが、何とも勿体なく感じた。

 そうした部分を含め、SF考証が甘いし、終盤の展開も駆け足で物足りない――むしろ、こうした大人数の騒動を描きたいのであれば、薬を飲まない事で起きた騒動は最初っから仕組まれた事で、これを乗り越える事で乗員の結束を高める目的だった……と言うような事が、届かなかった地球からの通信にあった、くらいのひねりとオチが欲しかった所だ。


 4月1日金曜は、在宅勤務。
 仕事の後、ブルク13で、
 「シャドウ・イン・クラウド」。

 これは、クロエ・グレース・モレッツ主演の航空ホラー・アクション。
 監督は、中国系ニュージーランド人の女性監督、ロザンヌ・リャン。

 1943年。連合国の女性大尉モード・ギャレットが、発進直前のB−17爆撃機“フールズ・エランド号”に乗り込む。司令部からの密命を帯びたモードの任務は、極秘の荷物をニュージーランドからサモアへ運ぶこと。
 命令書を突きつけられた機長は渋々同乗を認めるが、座席は機体下面の球形銃座しかない、と言う。狭い銃座に閉じ込められたモードは、離陸後、右翼にまとわりつく謎の生物を目撃して……

 これは、飛行機に取り憑いて問題を引き起こす小悪魔”グレムリン”を描く映画。
 この”グレムリン”、実際に、事故やトラブルの絶えなかった初期の航空機パイロットたちの間で広く語られていた一種の都市伝説で、これを映画にしようとしたのは、正にこの映画の舞台である1943年の事だったと言う。
 (その企画は長く日の目を見なかったのだけど、舞台を未来の宇宙に移し、飛行機を宇宙船に置き換えたのが「エイリアン」なのだとか……)

 これは、”グレムリン”との遭遇を描くホラー映画の筈だったのだが、あれもこれも現代的・社会的要素を盛り込んでいる……まずは、主人公を女性にした、そうしてヒロインがガラス張りの球形銃座に閉じ込められ、男たちから卑猥な言葉を浴びせられる、と言うのは、社会における女性の立場をカリカチュアライズしたもの、と言えるだろう。
 そこまではよいのだが、この映画、更に、恋愛にDV、極秘出産、母の強さや、子供が生まれる事で態度を変える男、と設定を盛り過ぎなのだ。
 しかも、そうやっててんこ盛りにした設定、中盤以降、グレムリンが暴れだし、それに日本機の襲撃も重なってサスペンスが盛り上がると、盛り込んだ設定の大半を放り出してしまう……モードに対し、パワハラで圧力をかけたり、卑猥な言葉でからかった男が次々に死ぬ、と言う展開も安易なら、ハッチが開かなくなった球形銃座から、這い出し、爆撃機の腹側にぶら下がって機内に戻る辺りの展開はどう見ても荒唐無稽。しかも、逆さになったモードの視点に合わせて画面をひっくり返すのだが、それが正に、上下逆に作られた爆撃機のセットの上で、クロエ・グレース・モレッツが四つん這いになっているのが判ってしまう、と言う体たらくだし、予告編でも出て来た落下するモードが生還するシーンはほぼギャグでしかない……ロザンヌ・リャン監督のアクション演出のセンスを疑うね、こりゃ。

 そして、最後、不時着した爆撃機乗員に尚もグレムリンが襲いかかるのだけど、ここで完全にブチ切れたモードが、破れたフライトスーツの袖を引きちぎり――スタローンなら上半身を脱ぐシーンだが、女性だから袖止まり――鍛え上げられた腕を見せてグレムリンに立ち向うのだ。クロエは筋肉質で肩幅も広く、両腕にもしっかり筋肉がついているだけに、まるで女子レスラーのような迫力で、グレムリンがビビって逃げ出そうとするのには痛快を通り越して笑うしかない――尻尾を掴まれ、ボコボコにされるグレムリンがいささか気の毒になった程だ。

 これだったら、盛り込む要素を削ぎ落とし、新米乗員のモードが、グレムリンとの生き残りをかけた争いの中で、他の乗員に受入れられて生還する……と言う物語でよかったように思うけど、何でこんな事になってしまったのやら……
 とは言え、本作は最初っから最後までクロエ・グレース・モレッツ出ずっぱりで、銃座に閉じ込められた前半は顔芸、後半は肉弾アクションと、その魅力を堪能出来る訳で、彼女のファンであれば必見だろう――もっとも、子持ち人妻の空軍大尉と言う役を演じるには、クロエ・グレース・モレッツはさすがに若すぎるように思う。ちょっと前なら、アンジェリーナ・ジョリーとかシャーリーズ・セロンがキャスティングされるような役じゃないかなぁ……
 また、中盤以降のサスペンスを畳みかけ、ノンストップで突っ走る辺り、これはこれで悪くない……怪しいミリタリー設定含め、荒唐無稽さが気にならなければ、楽しめる映画になっているように思う。
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