土曜午後、シネマジャック&ベティで、
「ポゼッサー」。
これは、鬼才デヴィッド・クローネンバーグの息子、ブランドン・クローネンバーグの監督第二作。
出演は「ニューヨーク 親切なロシア料理店」のアンドレア・ライズボロー、「ヘイトフル・エイト」のジェニファー・ジェイソン・リー。
他者の人格を乗っ取り、殺人を行う組織のベテラン暗殺者、タシャ。
特殊なデバイスを用い、標的に近しい人物の脳内に挿入したインプラントにより、その人格を乗っ取り殺人を行う。その後、ホストを自殺させ、“離脱”する――しかし、あるミッションで、タシャはホストを自殺させられなかった。その日から、タシャの中の何かが狂い始める……
この映画、骨幹となるアイデアはなかなか面白い。冒頭、人格乗っ取りにより行われた殺しの一幕はショッキングで、インパクトもある――だが、この映画、それを超えるものをとうとう出せないのだ。
デヴィッド・クローネンバーグならば、“特殊なデバイス”を、生理的な嫌悪感さえ生む、独特のものに仕立てだろうが、これはあまりに工夫がなさ過ぎるのではないか。低予算の映画なのは判るが、だからこそのセンスであり、見せ方だ。
殺人の描写も、繰り返される人体破壊と流血だけだし、壊れていくタシャの心象風景にも、センスを感じない。
不安感を煽る音楽、繰り返されるイメージシーンの挿入も、どうにも単調だ。
鬼才と言われた父、デヴィッド・クローネンバーグと比べるのも気の毒なのだが、息子の方は、いささか真面目に過ぎ、そして芸のない印象だ。
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