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2022年01月19日21:11

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台湾のひとが作る“シナ料理”

 あらためて話をしたこともないのに、確かに顔に見覚えがあり、ある意味よく知ってる人っている。さっき近所の銭湯でつい話し込んだ80に近いという白髪の男性もそんな人だった。彼は西早稲田の古本屋街で昭和20年代から続く中華料理屋さんのご主人だ。
 聞くとご両親が台湾の人で、田中角栄が中国との国交を回復したときに日本に帰化したんだそう。「切ないねー」というのは、早稲田通り沿いに5〜6軒はあったラーメン屋さんがいずれも後継者がいなくて閉店したからだ。
 僕はここのご主人の料理が好きだけど、いわゆる町中華というか日本のラーメン屋さんの味ではない。僕の親世代が言う“シナ料理”の味だと思う。オジサンにそう聞くと「そーだね」とうなずいてる。例えば中華丼のアンが干しシイタケの出汁がきいてて、日本式中華の味とは少し違う。勿論日本式になってるところもある。長く日本でやってるんだから。
 五月の節句ころになると、軒下に大きな笹の葉にもち米と具を包んだ“ちまき”がぶら下がっていることがある。注文を受けて限定的に作っていて、台湾の人以外にもそれを待ってるファンがいるらしい。沖縄やら八丈島にいるというファンが両親に臆たりしてるらしい。
 彼は五年に一回ほど台湾に帰省していたそうだけど、もう知ってる人が少なくなったらしい。五人ほどいた子供さんは何より教育が大事だと大学まで出してもう全員独立している。でも店は、自分の代で終わりだという。マイペースでできるだけ続けばいい。
 「沖縄からパイナップルとかの詰め合わせが送ってきたりしてびっくりしたことがある」なんて言ってる。
 この店意外に有名な部分もある。「よく知ってたねー」といってたけど。日本の古い建築をイラストにした本があるとき出版され、その中の作品の一つは確かに見覚えのあるこの店の店頭だった。
 なんとか飯店風なのです。そのイラストレーターは確かヨーロッパのひとだと覚えていた。「奥さんは日本のひとなんだけど、その絵をか描いてくれた人はアニメの“君の名は”で絵を描いた人らしいよ」。
 「で、最初は断られたけど頼んでその絵をもらって今は店の中に貼ってるんだよ」。
 なんか楽しかったが話が長くなって、上気しそうになった。あらためて食べに行こうと思ってる。
 60幾つにもなると、町を歩いていて明らかに良く知ってる顔だったりしてでも思い出せずニ三日たって、ああ、あの人だってなることありませんか。10年以上前に毎日のように通ってた定食屋さんの奥さんだったりするんだよね。その定食屋さんがなくなったらそうなる。

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