今年もコロナ禍の影響で、シアターゴーイングの回数が激減した中、畏友鵜山さん演出
の舞台としては今年5本目となります
初演は1986年で、彼はこのときが井上作品初演出で芸術選奨新人賞を受賞しています
その後主演女優を変えて何度か再演していますが、多分ワタシは今回が初観です
市原悦子さんの初演、1999年の宮本信子さん、東日本大震災の翌年には高畑淳子さん、今回はマンザナわが町でタッグを組んだ熊谷真実さんを主役の女座長中村梅子に据えて
という具合に主演女優を並べますと、当然ながら今回が一番若いのですが、演じた当時
の年齢で言うと生年と全く逆で、市原さん51歳、宮本さん54歳、高畑さん56歳、熊谷
さん61歳という順になります
作者の設定では50歳ちょっと手前ということですから、いずれもそれよりはかなりの人
生経験を積んだ配役陣ということになりましょう
前述したように、ワタシは今回が初めてですので、大衆演劇の座長という役柄ではマン
ザナで女浪曲師を演じた熊谷さんがイメージ通りと思えました
脇を固める配役も、最後のカーテンコールでそれぞれの出身が紹介されますが、元宝塚、
吉本興業、東京ヴォードヴィル、文学座、元アイドル(SUPER☆GiRLS)など多彩です
旅回りの一座の世界ですから、舞台で繰り広げられる出来事は虚々実々、どこまでが
芝居で、どこまでがマジなのかわからない、観客は芝居にひっかかっている劇中人物を
観ながら、もしかして自分もだまされているかもしれない、作者の思うツボにまんまと
ハマっているのかもしれません
女座長が一人で湯に行っているあいだに角巻姿の老婆の客が登場しますが、これはどう
みても熊谷さんが演じているので、もしかしたら座長が変装しているのかもなどと深読
みしてしまいます(配役表には載っていないけれど、どうやら熊谷さんの一人二役)
ともかく、何が事実かはわからないけれど、演劇讃歌、翻って言えばそれは「人生は
生きるに値する」という人生讃歌なのですね(真実は一つ)
この座長は後に「化粧」の発狂する女役者になるのらしいですが、それはまた別の話
今回は舞台上は吹雪が舞っていましたが、心はほんのり温められました
13時という早めの開演で、15分の休憩含め2時間半、飲まず食わずの後の遅い昼食は
代々木駅前の小諸そばさんで鶏カラそばを(もちろん温かいの)
山手線から東横線に乗り継いで発車間際に飛び乗ったら、見下ろした前の座席に座る
男性の頭部に見覚えがある、荷物のトートバッグからワグネリアン誌が覗いているの
で間違いない、ワグネルOBのしおぱんさんでした(鵜山さんのお導きかな)
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