SIRANOさんのFBには先を越されてしまいましたが（それは偏にワタシのせいです）
中村勘九郎さん主演のTVドラマを録画して、遅ればせながら横浜で初雪の降った本日
何処へも行くあてのないまま2週分3時間を一挙再生・拝観しました
元々、実在の歌舞伎役者である中村仲蔵のことは落語の演目として知っておりました
といっても落語の実演は経験しておらず、集英社文庫の圓生古典落語口演集に収められて
いるものを読んでいるだけです
この落語は中村仲蔵が忠臣蔵の中の定九郎の役を現在のような色悪に仕立てる経緯につい
て焦点をあてているもので、それを今回のドラマはそこに行きつくまでの苦労話を前篇に
持って来てクライマックスを成すように構成されています
圓生師匠の解説によると、落語の原典は三代目仲蔵の書いた「手前味噌」であるらしく、
さらに今回のドラマはそれに初代仲蔵自身の自叙伝「月雪花寝物語」を加味しているよう
であります
落語の方は成功譚がメインでありますから、トントン拍子に出世したような印象を受け
ますが、実際（かどうかはわかりませんけれど）は大部屋俳優としてのいじめもあった
ようで、苦労の末の出世話になっています
逆に、今回のドラマでは仲蔵と反目し合って冷遇する歌舞伎作者の金井三笑が、最後に
仲蔵の実力を認めて謝罪する運びになっていますが、落語では（圓生師匠の語りでは）
三笑は終生仲蔵と口を利かなかったとあり、こっちの方が本当かなと思われます
世の中そんなに丸く収まるものではありません
仲蔵の妻お岸を演ずる上白石萌音嬢は三味線の名手という役どころで、どうせエアーで
あろうと高をくくっていたら、どうも本当に弾いているらしい、シャッポを脱ぎました
彼女の歌については鼻濁音ができていないので、ワタシは低評価でしたが、今回はきち
んと鼻濁音になっていて、これは三味線以上に訓練したのか、もともとできるのにも
拘わらす、舌足らずに聞こえるようにわざと当世風に発音していたのか
いずれにしても、なかなかしたたかな女性です（お岸さんというヒトもね）
勘九郎さんはお父上とはあまり似てないように思っていましたが、ふとした瞬間に面影
が見える、もしご存命であればさぞやお喜びであったであろうと思うと、ちょっとジー
ンとしてしまいます
圓生師匠の高座はYouTubeで観ることができます（ということを先ほど知りました）
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