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2021年12月07日23:36

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映画「昨日より赤く明日より青く」感想

 これは、エクザイルのHIRO、別所哲也、作詞家の小竹正人による「CINEMA FIGHTERS project」の第4弾。
 6人の監督による、それぞれ選んだ1曲の楽曲にインスパイアされて製作した短編映画の競作となる。

◇「BLUEBIRD」 楽曲「あおいとり」 (監督:SABU)
 何をするのもいつも一緒だった兄弟。ある日弟が倒れて……
 冒頭から続く、ドジで半端な兄弟の日常に乗れず、弟が急病で倒れ生死を彷徨っている最中に、ヤクザが出て来て拳銃を巡るギャグを突っ込んで来るセンスも理解不能――SABU監督らしさは感じるが、ちょっとガッカリさせられた。

◇「言えない二人」 楽曲「そんなことキミに言えない」 (監督:山下敦弘)
 恋人の心が離れている事を感づいている柊子と、彼女の幼馴染みで、その恋人から彼女との別れ話を切り出してくれ、と言う無茶な依頼を受けたあゆむ……ふたりは言うに言えない想いを抱えながら1日を過ごして……これまた山下敦弘監督らしい1本で、ふたりの抱えた想いと、言い出せない状況がもどかしくも愛おしい。続きが気になる1本だ。

◇「水のない海」 楽曲「愛だけは・・・」 (監督:久保茂昭)
 近未来、AIのサポートでフードデリバリーをしているユキオは、配達先の中国美女、ジェニの破局の修羅場に遭遇。ジェニのヤケ食いにつき合わされたユキオは、彼女の未完成の絵に惹かれて……
 AIがキューピット役を務めるボーイ・ミーツ・ガールものだが、あれこれ盛り込みすぎてドラマが盛り上がらないのが惜しい。もっと尺があれば、とも思うが……

◇「怪談 満月蛤坂」 楽曲「散る散る満ちる」 (監督:森義隆)
 歴史ある老舗旅館が舞台。若手板前が、行きずりの女と一夜を共にした後、妊娠したかのように腹が膨れてしまう。女将は、200年前の仲居の幽霊が取り憑いたと言うのだが··…·
 これは典型的な怪談話ではあるのだが、これまた短編故に「怖さ」を徐々に盛り上げていく尺がとれず、肝心の「恐怖」を見せられなかったのが惜しい。女将を演じた筒井真理子の存在感はさすがだが、その最後の笑みにぞっとさせる怖さを潜ませて欲しかった所だ。、

◇「COYOTE」 楽曲「サクライロ」 (監督:真理子哲也)
 2020年、シカゴに住む晴人は、恋人の人形劇演者で、韓国系米国人のハナにも告げずに東京オリンピックのチケットを買う為に東京に戻った。だが、新型コロナウィルス感染拡大で、事態は急変……ハナが出演していた劇場は閉鎖になり、渡航制限により、晴人はアメリカに戻れなくなってしまう……
 これは社会との軋轢が生む様々な暴力を描くもの……その軋轢とは、他人を気遣えない、社会を見ようとしない身勝手さから生まれる、と言う視点は、これまで“暴力”を作品テーマとして取り上げて来た真理子哲也監督らしい秀逸なものだと思う。惜しいのはハナがアジア系と言う設定から予測される描写を省いている事で、彼女の愛犬がコヨーテに殺される描写よりも、コロナ禍でのアジア人排斥が彼女に襲いかかる、とした方が作品テーマに沿うものではなかったのではないだろうか?

◇「真夜中の一人たち」 楽曲「笑うしかないトラジティー」 (監督:新城毅彦)
 礼服姿の男は、真新しい指輪を海に投げ捨てようとして思いとどまる。そこへ結婚式の引き出物を置いて立ち去る女……想い人を同じ日に失ったふたりはこうして出会った。
 指輪を売り払い、軍資金を得た2人は夜の街に繰り出して……
 この映画、傷心を抱えた男女の距離感が絶妙。プライドに心残り……様々なわだかまりが障壁となり、隣り合っているのに「ひとり」であり続ける男と女。
 関口メンディーの不器用さもいいが、やけくその開けっぴろげさを見せる阿部純子は最高だ。
 冷たい夜の中で求めた温もり、そして東京の朝焼けが「ひとり」をほぐしていく……ラストの新宿駅での別れまで、一夜のドラマを持ちうる尺の中で余す所無く描いた。短編映画のお手本となるような傑作だ。

 短編映画の競作だが、限られた時間の中でもちゃんと持ち味を出しているのには感心――むしろ、短くある故により味が強く出ると言う事だろうか?
 その一方で、楽曲はEXILE TRIBEなどLDH関連に偏り、正直知らなかった。これが馴染のあるヒット曲を元にしたものであれば、映画の印象も変わって来ると思うのだけど、映画の企画からして、それは無理だったのかな……
 最初の「BLUEBIRD」だけはちょっと残念だったが、あとはいずれも見応えあり。特に最後の「真夜中の一人たち」は印象的だった。
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