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2021年11月27日20:07

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インド映画のオススメ放出

 先日TVで、私の好きなインド映画ベスト3に入る『パッド・マン』(勿論バッドマンのもじりだ)を大々的に紹介されてしまったので、口惜しいから残り2つの内の片方を激推ししてきます。


   『きっと、うまくいく』 2009年


 このタイトルは正確ではありませんで、「All is well」を「アールイーズウェ〜ル」と発音する、3人の主人公達の合言葉みたいなもの。『だーいじょーうぶー!』みたいな感じ?
 ちなみに原題は『3 Idiots(3バカ)』。なんてストレートな。

 ICE、インドの超難関校・国立工科大学に入学し、寮生活の中で親友となった3人の、基本は青春コメディです。
 コメディですが、試験結果を気に病んで自殺する先輩、工学を「学ぶ」のではなくテスト結果や大企業への就職・世間的な成功ばかりを求める教授、本当にやりたい仕事があるのに工学しか未来を選べない家庭的なジレンマ‥‥など、次々とぶっこんできます。惚れた女の子(ヒロイン。医大生)が、親の一存で医師になる道を切り捨てられ、金しか取り柄のない最低男と結婚させられそうになったりな。
 日常生活なのに波乱万丈で、インド映画だから歌って踊‥‥踊ってはなかったか?風呂場で局所を隠しながらミュージカルに突入したのは覚えてるんだけど‥‥まぁ、着飾った踊り子が突然乱入してくる事はないので安心してください。

 笑ってハラハラして怒って泣いてまた笑う。ジェットコースター、と呼ぶにはインド映画は長いのですが(インターバル、途中休憩が入るのがデフォ。初めてインドの映画館で見た時には、そりゃもうビックリしましたとも)、だからこそ描ける青春群像というものもある。
 3バカは勿論、それぞれに事情を抱えるであろうクラスメート達、の中にも居るめっちゃヤな奴、超強敵の教授。小間使いの少年。
 何気に大事な基礎知識として、コンピュータ含む現在工学は、カーストが定められた時点では存在しない職業なので、生業とするのに身分を問われないのですよ。だからどんな人間でも目指せる。インドがいきなりIT大国になった理由です。
 ヒロインが医学生だけど産科に特化してるのは、まだそれ以外は解放されてないから。ホント難儀な国ですわ。

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 そして、全てが解決する場所のロケは、「こんな綺麗な場所が地球には存在するのか」と絶句するラダック。
 私は2014年に行った訳ですが、お世話になった現地旅行会社‥‥会社?(奥さんが日本人/旦那さんはダライ・ラマの通訳として来日したというご夫婦で経営してた。一昨年に閉店)が、ラダックロケの世話をしたそうで。私知ってる、あの湖パンゴンツォに行くには最低でも3日の高度順応が必要で、しかも国境に近いから複雑な手続きが必要で、撮影機材を持ち込むのにどれくらい苦労するか。
旅行記はこの辺り。https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1925962797&owner_id=1680995

(ラダックの風景そのものが見たいなら『命ある限り(2002)』の方がいいかな?主人公がバイクで疾走する道はここだよ、と教えてもらいましたが、当時は観てなかったのでピンときませんでした。後から「ああ分かった!」ってなった。というか、冒頭がレー唯一の小規模なバザールの突き当たりじゃん。あそこを撮影で封鎖するなよ、スーパーとかモスクとか生活が成り立たなくなるじゃん)

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 とにかく良く出来た脚本なので、げきろんみたいに細々語れませんが。
 ちょっとだけ見直して気付いたのは、英語とその他の頻繁な切り替わり。インドは出身地が遠いとインド人同士で英語で話してるくらい言語が色々なんですが、大学の授業は英語、3バカは普段はヒンドゥー語、違う土地に行くとまた違ってる?あれラダック語出てきた?
 この頻繁な切り替えを、ナマで理解できるインド人に、本気で嫉妬しましたね。人と人の距離感を、言語だけで察せるんだ。もしかしたら、今はもう日本語ではほぼ消えてしまった、イギリスではまだ生きている、話し方だけでその人のバックグラウンドまでもが分かってしまう出来る言語の可能性。すごい羨ましい。(絶対にランチョーは口調で伏線を張ってた。チャトルのたどたどしさに隠れて、どこだかは見当も付かないけど)

 なので、本当なら字幕の字体を変えて欲しかったりしますが、これは100点満点で100点付けてる作品に120点を求めてるようなもんなんでしょう。せめて私が英語だけでも完璧に聞き取れればな、切り替えポイントが明らかに分かるのになー。

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 インド映画ベストスリーの最後の一つは、『スラムドック・ミリオネア』なんですけど、まぁこれは有名だから紹介しなくてもよかろ?というのが一つ、原作『僕と1ルピーの神様』の方が断然当時のインドに近かったというのが一つ。
 映画を見てショックを受けた同僚が、「本当にインドってあんななの?」と聞いてきたから、「映像だから大分マイルドになってるよ。物乞いに有利なように喉を潰される子供とか、孤児院の神父が男の子を玩具にしてたりとか、ヒロインが14の時に実の兄に売られた上に今でも力ずくで売上持っていかれるから痣だらけとか、出てこなかったよねぇ?」と答えた。
 二度とその話題に触れてくれなくなった。もっと酷い現実を語り聞かせたかったのに、ちっ。

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 あまりに厳しい現実と、それに決して屈しない主人公達。
 インド映画にごく普通にあるそれらは、先進国では同じものを描くのに“ファンタジー”“フィクション”にしなければ、現状難しくなっています。だから、私は基本的にマイナー国の映画が好きなのかもしれません。
 そして、だから邦画やTVドラマをまるで観ないのかもしれません。
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