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2021年11月10日17:51

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香月泰男展@神奈川県立近代美術館

日本の画壇には全く不案内なワタシが香月泰男という名の洋画家を知るはずもないの
ですが、Eテレの日曜美術館のアートシーンのコーナーで紹介された標記の美術展を
知り、本日葉山まで行って参りました

先月までは事前予約が必要だったのですけれど、緊急宣言解除後はそれもなくなり、
当日フリーで行けるようになりました
逗子駅からバスで20分かけて行くような美術館で予約が必要なの?と思いましたが
本日行ってみると結構な人出でした(行列とまではいかないまでも)

150点ほどが出品されたうち、57点がシベリアシリーズと題された連作、これが有名
だったのですね(知らぬはワタシばかりなり)
シベリア抑留をテーマとした美術展では、過去に世田谷美術館で熊本のアマチュア画家
(本業はカメラ店を経営している)久永強氏の個展を拝観し、大いなる刺激を受けた
ものですが、今回は東京美術学校卒のプロの画家、もちろん抑留生活にランク付けなど
あるわけもなく、再び心にずっしりと重い作品群でした

戦前の、美術学校のころの作風はゴッホに傾倒していたということで、筆致や明るい
色使いにそれらしいところがありますが、戦争から帰還した後はそれでは描けないと
いうところからガラリと作風が変わって黒や黄土色を多用し、写実を離れ、苦悩と絶
望と怒りと悲しみと、ありとあらゆるネガティヴな要素が画面から飛び出してきます

シベリア抑留経験者の中には、それを語りたがらない方もおられますが、香月さんは
描かずにはおられなかったのでしょう
「無辜の民を被害者としたからではなく、一介の市井の人々を加害者としたところが
戦争の恐ろしさなのだ」という作者の言葉には突き刺さるものがあります

一点一点に添えられたキャプションも丁寧に拝読し、Deepな時間を過ごしました

鑑賞後は美術館とは隣り合わせのしおさい公園で遠く富士山を眺め、日本庭園の落ち
着いた佇まいの中で暫し心を癒しました
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