mixiユーザー(id:283341)

2021年10月23日19:02

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城山三郎「黄金の日日」

一応、大河ドラマの原作となっているが、実情は違うようである。企画段階で
多くの設定を共有した後、城山は執筆を開始し大河ドラマのほうは脚本の
市川森一が主導する形に。比較しながら読んでいたが、どうやら2人のクリエイターが
夫々に持ち味を発揮している為、共通しない部分を多く発見することになった。
全体的な雰囲気として、小説では淡々と時間が進み大河ドラマではテンション高めの
演出が目立つ。映像に於ける手法という点もあるが、あらゆる歴史的事件に
呂宋助左衛門が絡む感じは少し不自然かもしれない。再びルソンに渡って、現地で
スペイン軍を撃退したのはやりすぎた。
城山版にリアリティを感じるのは当然として、助左衛門と美緒のロマンスが遂に
成就しなかったことは悲痛ですらある。様々な条件、タイミングであったり
信教であったり病であったり、あり得そうな事象が障害となっているので我が事の
ように胸を痛めるのだ。
ラストシーン、黄金の日日を謳歌した堺が業火に包まれる。栄光は確かにあったけれど、
凋落もまた世の習いである。栄華の記憶は、人を喜ばせるだろうか。それとも
今ある現実を不遇に感じてしまうだろうか。
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