ネモさんこと根本秀之氏が出演するとのことで、お誘いを受けて観てきました。
人間関係のリアルな困難を丁寧に時に本音の憤りをぶつけつつ、ダンスや音楽に比喩して実感させる物語は、普遍的な抽象性があるもので、自分に置き換えつつ観ました。
「これで絶対に大丈夫」と言う万能な解決方法の無い人間関係の悩みや問題は、それぞれの場合ごとに個別に解決していくしかなく、しかし、その方法もどうすれば良いのかわからない。
しかも「自分がどうありたいか、と言う個人の問題」、「個人対個人の人間関係の作り方の問題」、「集団の中での人間関係の問題」、「他者との間の人間関係の問題が、別の場所で別の人との関係に影響する問題」など、複雑に絡み合って波及する難しさ。
自分自身をどうするかもままならず、まして他人をどうするかはさらにままならない。
自分がすべて我慢すれば自分がつぶれる、だから嘘の無い本音を言葉にして相手にぶつける事もある。
とは言え、自分を無制限に主張する者たちだけだと、集団での生活は成り立たない。
そんな問題に対して、「独りだが孤独ではない」と言う在り方をダンスに例えるのが、興味深く腑に落ちました。
個人の自由を追求しながらも、集団の内の一人としての在り方にも責任を持って調和を目指す。
そして、一緒にいられる間は一緒に過ごし、無理な場合は自然とそれぞれ距離を置く。
他者に支配させないし、他者を支配しない距離感の作り方、と言う感じを受けました。
そして、そこまで考えた時に、劇伴の演奏と歌が生だと言う事と、ラストのパブでの合奏のシーンが繋がり、ダンスだけでなく音楽活動もまさにそうした距離感の人間関係の作り方なのだと気付いた作品でした。
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