『平成という時代の検証』 2016年●平成二十八年　その10

宇多田ヒカル　母、藤圭子の死を乗り越え、前年に長男が生まれたことをきっかけに、六年間の活動休止を終え活動を再開。NHKの朝ドラ「とと姉ちゃん」の主題歌「花束を君に」や日本テレビの情報番組「NEWSZERO」のエンディングテーマ曲「真夏の通り雨」を発表。9月28日、八年半ぶりにリリースしたオリジナルアルバム『Fantome』は、結婚、離婚、再婚、出産、母の死など波乱に満ちた私生活の経験を経て奥行きを増した歌詞の世界、そして椎名林檎、KOHH、小袋成彬(OBKR)とのコラボレーションなど話題性もあり、この年の日本の音楽シーンを語るうえで欠かせない作品となりました。

こち亀、完結　「こち亀」として親しまれた秋本治の『こちら葛飾区亀有公園前派出所』が40周年を迎えるとともに「週刊少年ジャンプ」での連載を終了しました。コミックスは全200巻。「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ」としてギネス記録に認定されました。葛飾区というディープな下町を舞台に、常に流行を取り入れ、最新のジャンルをネタにしながら、警察官である両津勘吉がどたばたを繰り広げるギャグマンガです。

パナマ文書　パナマ文書と呼ばれるパナマの法律事務所モサック・フォンセカの内部文書を分析することによって、同法律事務所が行っているタックスヘイブンを介した租税回避の実態が明らかに。前年、2.6TBに及ぶ大容量の内部文書を入手した南ドイツ新聞社の若手ジャーナリスト二人が中心となって、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)とともに、80カ国、約400名のジャーナリストが分析を開始。データには電子メール、PDF文書、画像データなどが含まれていました。五月、租税回避、資産隠しに関わっている法人や個人名を公表。その影響を受け、アイスランドのS・D・グンロイグソン首相やパキスタンのナワズ・シャリフ首相が辞任。膨大で多様な形式のデータを解析できた理由として、デジタルデータをデータベース化する技術の進歩があったことは見逃せません。

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