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2021年06月20日11:34

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『平成という時代の検証』 2015年●平成二十七年　その9

年配女性の教則本

　下重明子『家族という病』(幻冬舎新書)、曾野綾子『人間の分際』(同)。上から目線の無理な断定も多いのですが、それを有り難い教訓と受け止める読者も多いです。渡辺和子『置かれた場所で咲きなさい』(幻冬舎)は前年からのベストセラー。篠田桃紅『103歳になってわかったこと　人生は一人でも面白い』(幻冬舎)は、最高齢著者(アラハン！)のブームの一角をなしました。これらの本が、すべて同じ版元であるのも面白いです。

異色のベストセラー　経済的格差と不平等を論じたフランスの経済学者トマ・ピケティの『21世紀の資本』(訳.山形浩生他、みすず書房)が、600頁超の大著で高価(5500円)にもかかわらず、発売早々13万部を超えるベストセラーとなりました。格差社会化が進む日本にとっての警告の書。

古典の再評価　池澤夏樹個人編集というユニークな『日本文学全集』(河出書房新社)の第Ⅰ期12巻が完結しました。島田雅彦や川上未映子の古典新訳も珍しいです。

惜別　「火垂るの墓」「アメリカひじき」で直木賞受賞の"焼け跡闇市派"、「黒の舟唄」などの「歌手」としても活躍した野坂昭如(12/9、85)、『雲の墓標』『山本五十六』などが代表作の作家阿川博之(阿川佐和子の父、8/3、94)、中国歴史小説の第一人者の作家陳舜臣(1/21、90)。

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