mixiユーザー(id:14108240)

2021年04月19日07:58

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それって、どうよ。

週に三日プールで泳いでいる。
スイミング教室に通っているわけではないので、自由気ままに黙々と泳いでいるが,顔見知りの人とはひと言、ふた言軽い会話はするようになった。

ロッカールームで帰り支度をしていると、私と入れ替わるように必ずその時間に入ってくる女性がいるのだが、その人とも自然と言葉を交わすようになった。
でも、実にフレンドリーでいつも笑顔を絶やさないその女性には日本語に訛りがあった。
中国人でも韓国人でもないイントネーションに、あるとき「どこからいらしたの?」と聞いたらタイからだと言う。
そして日本に来て20年になるとも。

その女性が先日「読んでもらえないか」と携帯のメールを開いて私に見せてきた。
ところが私も老眼の身ゆえに携帯の小さな文字は読めない。
そばにいたスタッフも私と同じく「読めない」と言ったら、携帯の文字を大きくした。

どうやら漢字はまだ苦手らしい。
声を出して私が代読した。
「今日は写真を撮ってくれてありがとう。でも撮った写真はInstagramやFacebook,Twitterには出さないようお願いします」と言った内容だった。

タイからきた女性は私にお礼を言いながら「かしこまりました」って返事したらいい?」と聞く。
「う〜ん、それは間違ってはいないけど、ちょっと大袈裟かな。相手があなたより年上とか立場が上の人ならその方がいいけど,年下だったらおかしい。言われた方が気を悪くすることはないけど、照れると思う。
友達だったら「了解」とか「OK」でもいいんじゃないかな」

彼女は「大袈裟かな」と言った私の言葉を反芻して「そうか。大袈裟なのね。勉強になったわ」と、もう一度私にお礼を言ってスパの中に入って行った。

するとそのやりとりを最初から聞いていたスタッフの女性が私に聞いた。
「教え方が上手ですね!学校の先生だったんですか?」

私は目が丸くなっていたと思う。
教職ではないが学校内の学童保育で働いていて,子供たちから「先生」と呼ばれていた身ではあるから、あながち違っているわけではないが「はい」と言える身でもない。

しかもそこまで言っていただけるほどのことを喋ってはいない筈だ。
そもそも活字にするにあたって、言った事をすっきりまとめているが、実際は「え〜と」とか「そうねえ」とか、言葉に贅肉がついていたはずなのだから。

だけど「教え方が上手ですね」の、その一言は嬉しかった。

このところ私は鬱々として、神経が昂ってなかなか寝付けず、睡眠導入剤に頼る日が何回かあった。

先があまりない年齢になってみると、自分のお粗末な過去ばかりが否定的に思い出され、ひどく落ち込んでいたのだ。

人間の晩年に必要なのは過去を肯定できる自信なのかもしれない。
平凡な人生でもいい。
自分の中で一生懸命生きたと言い切れる確信があれば。
子供は褒められれば伸びるが、大人は褒められれば自分の人生を肯定できるようになる。

人間、幾つになっても褒められるのは嬉しいものではあるけど、でも、自分がここまでそれを渇望してたのかと呆れて落ち込むって、それはどうよ?

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