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2020年11月19日15:24

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シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!@キノシネマ

名戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」が書かれる経緯を作者エドモン・ロスタンを
主人公として描いた標題作映画を観に行こうと思っていたら、その名もSIRANOさん
に先を越されて、先日FBに同氏の観劇評が発表されました

ワタシとしてはSIRANOさんが観ようと観まいと行くことにしておりましたので、本
日予定通りみなとみらいまで出かけました
初めての劇場なのでビルの入り口がわからない、結局ぐるっと一回りしまして開映
ギリギリに入場できました(TSUTAYAの2階にあるということでその店員に聞いたの
ですが、「見習い」という名札をぶら下げた若者の説明がさっぱり要領を得ない)

シラノという芝居自体は鵜山君の演出による舞台を3度観ております(初回は戌井氏
の演出補)ので、まぁ知っている部類に入るのですが、その執筆過程については
これまでそれを解説したものにお目にかかっておりませんので全く未知です

本日拝観するに、作者ロスタンの実生活とその芝居の道具立てを上手く同期させた
メタシアターもので、ロミオとジュリエットに絡ませた「恋に落ちたシェイクスピア」
と同じ造りになっているようです
しかし、「恋に…」が全くのフィクションであるのに対して、本作は少なくとも登場
人物は殆ど実在の人々のようです(カフェ・オノレの黒人店長は創作かな?)

とはいえ、クリスチャンを演じた俳優の友人がその恋人に対して心情を打ち明けるのに
全く不調法であることを手助けするという設定が、シラノの芝居を書くことにヒントを
与えたというストーリーは、多分創作でしょうが上手いことを考えたものだと思います

冒頭でカフェの黒人店長が酔客に馬鹿にされたことに対してひとくさり言い返す場面
は、シラノの鼻に関する長台詞を思い起こさせて「始まったぞ」という感じです
サラ・ベルナールやアントン・チェーホフまで登場させるあたり、虚々実々まことに
面白い手腕だと感心させられます

シラノを初演したコクランの息子が図体ばかりでかくて役立たずというのは、演じた
役者のキャラからして薔薇の騎士のロイポルドを思い出しました(この役者の風貌、
米大統領選の際にコメンテーターとしてよくお見かけした上智大の前嶋教授に似て、
嫌いではありません)
それが芝居開演前の緊張を、娼婦上がりの俄か女優に「リップサーヴィス」を受けて
すっかりリラックス、前口上を立派に務め上げるところなど、下ネタも(さほど)
イヤらしくないところがさすがフランス映画です

唯一の不満は劇中劇のシラノの最後のセリフ「俺はあの世に持って行くのだ(中略)
それは私の品格だ」となっておりましたが、ここはやはり辰野隆/鈴木信太郎共訳に
よる「羽飾り(こころいき)」として欲しかったですね
そういうことができるのは、字幕ならではですから
著作権問題があるのかもしれませんが、この程度だったら使用料払ってもいいよね

観終わった後でチラシを手に入れ、それによると元々舞台作品だったものの原作者
による映画化だとのこと
だとするとこの原作の戯曲を是非鵜山君の演出(翻訳も)で観たいものです
文学座と加藤健一事務所のコラボでできないものでしょうか(シラノを演ずるコク
ラン役は江守さんではもう無理なのでカトケンさんです)

エドモン・ロスタンは約100年前流行したスペイン風邪により50歳で亡くなったそ
うです(昨今の状況からちょっと因縁めいたものを感じます)
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