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2020年10月28日20:11

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尺には尺を@新国立劇場小ホール

新国立劇場演劇研修所第14期生試演会ということで、今年は美津香さんの一人
シェイクスピアも殆どが中止になってしまいましたので、代わりといっては何
ですが、俳優の卵たちの公演を観に行くことにしました

研修生の発表会というには随分チャレンジングな演目を選んだものです
この作品、沙翁の37作のうちでは「問題作」と言われているもので、美津香
さんも中々に謎多きものとしていました(それは観たワタシもそう思います)
過去の日記にも感想を書きましたが
 何でこの人が出てくるの
 何でこんなこと言うの/するの
 何でそれで納得するの
ツッコミどころ満載です

今回演じた諸君も役作りには悩まされたことでしょう

ワタシは事前には美津香さんのLSDの他にシェイクスピア生誕450年祭の記念
公演として鵜山君演出による文学座の舞台を観ており、最近ではスカパーで
放映された彩の国シェイクスピアシリーズの故蜷川幸雄氏演出のものを観ました
もちろんその都度小田島訳の本も読んでおります
その上での本日ですが、掲示された上演予定時間を見ると正味2時間5分という
のは少々短いように思います
配役表を見ると何人かの登場人物の名前がありません、どうやらカットが施されて
いるらしく、それは第二幕第一場と推察されます(ここに登場する人物がいない)

この場面は本筋に関係なく、愚かな警官と愚かな紳士が言い損ないと勘違いを
繰り広げ、シェイクスピア・ギャグが展開されるところなのです
演出家は極力この作品から喜劇的要素を取り除きたかったのでしょうか

また鵜山演出の文学座公演では「はっちゃけて」いた二枚舌でC調な(古語かな)
ルーシオをかなり抑えめにしていたことからもそれが窺われます

鵜山君の解説によるとシェイクスピア喜劇の定義は最後が結婚で終わることなのだ
そうですが、そういう意味ではこの芝居は最後に4組の婚礼がもたらされますので
紛れもない喜劇と言えるかというと、両性の合意による婚礼は1組だけで、どうも
問題劇と呼ばれるのはそこら辺にも要因がある

特に今回の演出では、すべてを(強引に)丸く収めた公爵が唐突にヒロインの一人
イザベラに求婚するのですが、イザベラはそれに答えようとはせず、舞台に立ち尽
くしたまま暗転で終わりとなります
彩の国の公演ではイザベラは一瞬戸惑い、やがて笑みを浮かべて公爵の手を取るの
で、これは素直にハッピーエンドと受け止めていいでしょう

これ以外にもセリフを入れ替えたり、一人のセリフを群衆に(呼びかけのように)
言わせたり、不都合な部分をカットしたり、逆に説明が必要な部分は原作にない
言葉を加えたり、色々工夫がなされているようです
研修所の試演会というよりは、演出家の試演会とも感じられました

役者は当然全員無名ですが、発声が出来ている方、わめきたてる方、演技の自然な
方、手を持て余して意味のない仕草をしてしまう方様々です(誰がとは言わない)
この中から未来の名優が生まれるのか、それは今日の舞台だけでは何とも…ね

思ったより早く終演してしまいましたが、昼飯抜きだったので早めの夕食は王将
初台店でジャストサイズ・メニューの中から餃子(3個)、ミニチャーハン、
油淋鶏(小)に赤ワインをグラスでいただきました
マスクをしているから帰りの通勤電車でも餃子の匂いは気にならないだろうと思った
のですが、自家中毒といいますか、我と我が匂いで道中悶絶しそうになりました
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