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2020年09月02日07:31

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ガンプラ 片割りの法則

おはようございます、月影TAKAです。
今回は「ガンプラの片割りの法則」について語ります。

この「片割り」とは多分普通のガンオタには聞き覚えがない(というよりガンダム作品に片割り何て用語は出てこない)と思います。

「片割り」とはプラスチック成型や金属成型で用いられる用語であり、ようは「金型を開け閉めした際にきっちりかみ合う組み合わせ」を「片割り」という。
なお、金型を開くのを「片開き」と呼び、金型を締めるのを「型締め」と呼ぶ。
で、この成型機と金型を使ったプラスチック成型は基本的に「射出式成形法」と呼び「金型内にプラスチックを流し込んで急速冷却を行い形状を安定させて商品とする方法である。

で、このプラスチック成型における「射出式成形法」として「型流し」する方法で重要なのは「プラスチックのt(厚み)」と「片割り」に相当する。
まずtに関して語るなら「このプラスチック成型法では中の肉が詰まっていると外観が凄くへこむ可能性がある」として「ヒケ」の原因となりやすい事である。
この理由としては「ゲート・ランナー・スプルー」の穴径が関係しており、例えば「空気式簡易プール」を膨らませるのに苦労してるよね?
どうして苦労している?とすれば「簡易式プールの内面積(空気で膨らませる面積)が広くてホース系と違うから」というのが理由。
つまり「プラスチックを流し込む中の肉が詰まっている(入れるための穴や抜き面積が広い)というのは「それだけ形状が複雑な部分にプラスチックを流し込まなけれならない」という問題がある。
故に、プラスチック成型法では「できるだけtは流し込む径に対して合わせるのが望ましい」というのがあり、だいたいtはt1.0〜t1.5が妥当点とされる(ようは厚み1.0mm〜1.5mmである)。
よくやっても「t2.0」かな。それ位以上やると「中の肉を埋めるために中央にプラスチックが集中しやすくなり、外観を形成するプラスチックが引っ張られてヒケになりやすい」という問題がある。
これを強引に外観を張って形を起こそうとするのが「2次圧力」こと「保圧」であり、保圧を高めるほど形状は張るが、中の肉がスカスカになりやすいので脆くなる問題もある(結局は保圧をかけても使用するプラスチックの量は一緒であり、強引に外観を張った分中のプラスチックは外側に引っ張られるので中はスキマができる感じ。袋をパンパンに張った状態がイメージしやすい)。

なので、SDガンダムや最近の1/144ガンプラシリーズでは「中がスカスカに穴が開いている」物や「骨やひれの中に変なへこみ形状がある」等の「あれ?原作のイメージがと違うのですが?」と突っ込まれるデザイン形状がある。
これは上記にあるように「tが絡んでいるため」であり、安定して形状を作ろうとすれば「tを一定に保とうとする」という法則があるため、これは間違った形状ではない。

それに対して、昔からある「レジンキット」とは現在はUVレジンという物があるけど、昔だと「2液混合式の化学反応で固着させるレジン材」を「木枠や掘り込んだ造形用プラスチック」にレジン材となる2つの液を流し込んで型内にレジン液を充填させて形を作る方法が多用された。
よくに「手作りチョコやプリンの作り方」と同じであり、「型枠にレジン液を流し込む」方法」である。
よく、「昔のレジンキットがバリが酷い」というのは「レジン材が充填された型枠に閉じようの板を押し付けていたから(よくにコア板と呼ばれる物。ピン形状が主についている)」が答えであり、充填されたレジン材があふれかえって「バリ」として出てきているためである。

で、ターンエーガンダムのMSのデザインがバンダイの怒りを買ったのは主にこの「射出式成形法」が原因である。
G-UNITやエンドレスワルツまでのガンプラは主にレジンキットの作り方を熟知している「B-CLUB」というチームの技術応援もあって「射出式成形法で再現可能な形状」があらかじめ相談されていたためですね(よくに「バンダイ・サンライズ・ボンボン・B-CLUB」の4社打ち合わせで作られていたと考えてください)。
しかし、ターンエーガンダムのみ「サンライズの独断」であり、この独断と言える根拠が「デザイナーがシド・ミードだった」事になります。
言うまでもありませんが、ガンダムのデザインは「工業デザイン」以前に「プラモデルや模型として射出式成形法で作れるデザインであること(それが出来なければB-CLUB等でレジンキットとして発売されてました)。
つまり「成型機と金型を使って量産ができるデザインである」ことが前提とされており、スクラッチビルドは本来想定されていないのが通説でした。
これが「成形造形」と「加工造形」の違いです。
「成形造形」はよくに「金型からプラスチックを外してきて形状を作る⇒金型内の形状に左右される」とあるが「加工造形」は対して「板や棒状のプラスチックをリューターややすり、パテで形状を変える後加工作業」とします。
これはプラスチックを扱う加工メーカーでも「業種違い」とされており「プラスチックを型流しをして形状を作る」のと「プラスチックの板を削って形状を作る」のでは得意としている分野が違います。

で、ここから「型割り」の説明になります。
型割りのポイントしては「成型機に固定している金型の半分を軸に、成型機の可動アームに取りつけている金型の半分を開いて正確に型を開け閉めできるか?」ということであり、いわば「抜き勾配」という形状が重要視される。
つまりは「テーパー形状」という物であり、昔の1/144ガンプラやSDガンプラでは「前後組合せ・左右組合せのプラスチック部品を合わせて腕や脚を作る」方式の「モナカ形状」が多かったことを覚えているだろうか。
で、この「モナカ形状」画多かった理由としては、この「抜き勾配(テーパー形状)」が影響している。
しかも、この形状は「逆テーパー(逆勾配)」は基本的にNGとされる。
なお、「逆テーパーを意図的に作る形状」のことを「アンダーカット」と呼ぶが、大体が「固定側に製品を抱かせる」ことが意図とされる。
しかし、ガンプラの形状的には「可動側にプラスチックを抱かせてピンで金型からはがす」のが基本とされる。
で、「ターンエーガンダムのMSのデザインがこれを考慮していたのか?」とすれば壊滅的にしていない。というより富野由悠季からしてみれば「知るかそんなもん」と思うだろうな。
しかし、バンダイと提携しているサンライズからすれば「バンダイさんから大NGのクレームが来る(ガクブルッ)」というビビり方をしたと思う。
その結果が「ターンエーガンダムのガンプラが非常に少ない」という事態であり、これは全面的に「デザイナーのシド・ミードに原因がある」としか思えない。
海外では、ミニチュア・模型とは「VFX」にあるように「プラバンやを削って精工にモデラーが手作りしてくる」のが一般的であり「成型機を使って量産化する」なんて想定していない。
「工業デザイン」「映画の小道具のデザインをしている」シド・ミード氏からすれば「サンライズからそんなお題は出されていない。だから良いんだ」とあの世から発言しようものなら、サンライズは完全に青ざめていると思われる。
これは完全に「富野監督の悪意」であり、むしろ監督自身がこの事情を知らない時点で「あんたはそれでいいのか?」と正直思いますね。

今日はこんな感じです。

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