金曜は、会社を定時で上がり、TOHOシネマズ海老名で、
「青くて痛くて脆い」。
これは、「君の膵臓をたべたい」の住野よる原作の同名小説を映画化したもの。
出演は、「キングダム」の吉沢亮、「湯を沸かすほどの熱い愛」の杉咲花。監督は、「映画 妖怪人間ベム」の狩山俊輔。
人付き合いが苦手な大学生・田端楓は、「世界を変える」という大それた夢を持つ秋好寿乃に引っ張られ、秘密結社サークル・モアイを作った。
ゴミ拾いや、フリースクールの手伝いなど、「世界を変える」と言うにはささやかなボランティア活動をするモアイには、少しずつ人が集まっていった……
それから3年、意識高い系の多くの学生が集い、“就活サークル”と陰口を叩かれるようになったモアイを苦々しい表情で見る楓がいた。楓は親友の菫介と手を組み、モアイを潰す計画を企むが……
「この青春には嘘がある」と言うコピーで、楓から秋好を奪った“何か”と対峙するサスペンスと思わせて……実は、これは楓の見苦しい一人相撲、と言う物語――まぁ、孤独な少年の前に据え膳状態の美少女が現われる、と言う「君の膵臓をたべたい」よりは、リアルで、その分“痛い”物語であるのは確かだ。
もっとも、この物語の主人公である楓の、自分は傷つきたくないないし、誰も傷つけたくないから誰にも近寄らない、と言う処世術は、自分的には頷けるもの……と言うか、正直に言えば、自分も楓と同じ事を考える人間だ。なので、この物語の“青さ”も“痛さ”も判り過ぎる程判る。そして、そんな人間が何も成し遂げる事も出来ない事も、だ。
ただ、これは、そんな人間でない限り、楓に感情移入が難しいのではないだろうか――まぁ、楓のような人間、現代では決して少なくない、と言う事もあるのだろうけど。
そして、そんな楓がした、“取り返しのつかない事”によって、秋好もまた、己の信念である「人間はわかり合える、だから世界は変えられる」と言う事と、誰だって「なりたい自分になれる」と言う事を、楓によって打ち砕かれたのだ。そんな秋好の描写を欠く物語は、いささか一方的なものに思えた。
他人との「距離感」と言う本作のテーマは、意図せずして現在の状況とミートするものとなったし、所謂、“意識高い”系を、そのウザさまでしっかり描いている事や、SNSの描写などもまずまずリアルで、映画としてはなかなかよく出来ているとは思うものの、中盤以降の失速ぶりは、青春群像劇と見せながらも、結局、主人公の楓の視点だけから世界を見る、狭く閉じた一人称の物語であるからかも知れない。
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