日曜は、強い雨の中、映画を観に出掛ける……まぁ、チケットは前日に買っちゃったからねぇ。
まず、今日の1本目は、Kinoシネマみなとみらいで、
「ペイン・アンド・グローリー」。
これは、ペドロ・アルモドバル監督の自伝的とも言われる新作映画。
主演のアントニオ・バンデラスが、昨年のカンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞している。
映画監督サルバドール。脊髄の痛みと、咽喉部の腫瘍が生む息苦しさに心も体も疲れ果て、引退同然の毎日を過ごしていた。
そんな日々の中、32年前に撮影し、長らく封印されていた作品の上映依頼が彼のもとに届いた。プレミアでの舞台挨拶の為、仲違いしていた主演俳優のアルベルトと再会、ヘロイン常習者だった彼から薦められたヘロインにより、痛みを忘れ、夢うつつの中で、サルバドールは自身の記憶をたどっていく……子供時代と母親、その頃移り住んだ洞窟住居の生活、マドリッドでの恋と破局……
この映画で描かれる事の何処までがアルモドバル監督の人生を写し出しているものかは判らないけれど、年と共に動かなくなる身体と、見えて来るもの、その中で続ける創作活動、と言うのは、多くの高齢者に共感を呼ぶのではないだろうか?
映画中で、アントニオ・バンデラスが監督を演じ、劇中劇でそれを更に役者に演じさせるという入れ子構造や、鮮やかな色彩、考え抜かれた構図など、アルモドバル監督ならではの描写に、アルモドバル映画常連の俳優陣の達者な演技、と見応えはある。
ただ、映画のテンポはゆったりしており、かつてのアルモドバル監督作品が見せていた、性倒錯や狂気など、尖った部分がなくなっている辺りに、アルモドバル監督も歳をとったなぁ、と寂しさも感じてしまった。
映画の後、川崎へ移動。
昼食は、「いきなりステーキ」で、この後観る映画のタイトルにひっかけてワイルドステーキ。
これに生ビールをつけて、ランチセットのライスはキャンセル……ビールは大麦で出来ている、飲むパンのようなものだから、ライスは要らない。
尚、これも溜まったクーポンで無料……と言うか、あと1ヶ月以内にもう1回来ないといけないな、まだクーポンが残っているのだ。
その後、今日の2本目は、チネチッタで、
「ワイルド・ローズ」。
これは、実在のカントリー歌手をモデルに、カントリー歌手を目指すシングルマザーを描く音楽映画。
出演は、ミュージカル俳優として活躍し、最近、「ジュディ 虹の彼方に」などの映画にも出演しているジェシー・バックリー。監督は「イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり」のトム・ハーパー。
ローズリン・ハーランは、スコットランド・グラスゴーの生まれ。カントリー音楽の聖地ナッシュビルで、カントリー歌手としての成功を夢みているが、刑務所から出たばかりのシングルマザーで、幼い2人の子供を抱える彼女にとってナッシュビルはあまりにも遠い場所であった。
出所後、以前歌っていたバーからはお払い箱となり、ローズリンは資産家のスザンナの家で家政婦として働き始める。ローズリンの歌を聞いたスザンナは、ローズリンを応援するようになるが、不器用なローズリンは子供たちを傷つけてしまう。成功へのチャンスを目前に、夢か家族か、葛藤するローズがたどり着いた答えとは……
この映画、カントリー歌手を目指す女性が主人公と言う事で、てっきりアメリカ映画かと思ったらイギリス映画。
なので、苦難の末にデビューして成功を掴む、と言うアメリカン・サクセスストーリーを期待していると裏切られるだろう。
物語としては、ただカントリー音楽が好きなローズリンが、人間として、母として成長をして行く物語。
映画冒頭、刑務所を出所したローズリンが向かうのはボーイフレンドの家。そこで一発ヤってから子供の元に向かう、と言う、母親としてあるまじき姿を見せ、その後も母親に叱られてはわめき散らし、ロンドンに行く電車の中では飲んで騒いでいるうちに鞄も上着も盗まれてしまう……と、まるで子供。
しかも、肝心のカントリー歌手としても、3つのコードを覚えれば弾けるカントリーギターさえ弾けず、コピーばかりでオリジナル曲もなく、歌で何を訴えたい、何の為に歌うのか、の問いにも答えられないのだ。
そんなローズリンが、生きるとはどう言う事なのか、何の為に歌うのか、を知る彼女の人間的成長を丁寧に描くドラマには見応えがある。
そんなローズリンを演じるのはジェシー・バックリー。への字に結んだ口元が強情そうで、正にハマリ役、そして圧倒的なのはその歌唱力。
元々、舞台ミュージカルにも出演しているだけに、歌が素人な訳はないが、これは本物だ。
そんなローズリンが辿り着いたナッシュビル。カントリーの聖地、ライマン公会堂。
その夢のステージに立ち、彼女の口から出たのは「行くべき場所に立てば正しい道が見えて来る」――そこで、彼女には聞こえたのだろう。「ここはお前さんの来る場所じゃない。家に帰りな」と――
そう、カントリー音楽の精神……故郷を愛し、家に大事にする事。そこに思い至った時、彼女はナッシュビルにもう未練は無く、同時に、本物のカントリーを歌えるようになっている。
そんな彼女が、故郷グラスゴーで歌うカントリー……そのステージには涙が止まらなかった。
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