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2020年06月28日23:40

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水曜日が消えた

 水曜は、会社を定時で上がり、その後、TOHOシネマズ海老名で、
 「水曜日が消えた」。
 これは、「君の名は。」ではCGクリエイターを務め、2019年度の「映像作家100人」にも選ばれた注目の映像クリエイター吉野耕平監督による、曜日ごとに入れ替わる7つの人格を持つ男を演じたサスペンス。
 主演は中村倫也。

 彼は、幼い頃に交通事故に遭った後遺症で、一人の身体の内側で性格も個性も異なる7つの人格が曜日ごとに入れ替わるようになる多重人格者。
 治療により人格入れ替わりを24時間毎に調整、彼らは互いをそれぞれが目覚める曜日の名前で呼び合い、不便さはあるものの、平穏に暮らしていた。
 “月曜日”はミュージシャン、”木曜日”はイラストレーター、“土曜日”はゲームクリエイター”と、様々な個性を持ち、才能を発揮する人格のうち、“火曜日”の個性は生真面目、と言う一番地味なもの。家の掃除や荷物の受け取り、病院への通院など雑用をこなして1日が終わる損な役回りばかり。
 だが、そんな“火曜日”がいつも通りの一日を終え眠りにつき、目を覚ましたのは水曜日の朝。 “火曜日”は初めての水曜日を謳歌するものの、安定していた日常が変化して……

 この映画、中村倫也の七変化が見られるのか、と思いきや、物語は多重人格者の主人公のひとつ、“火曜日”だけを描くのがちょっと拍子抜け。
 もっとも、多重人格を、病気であり、治療すべきものとはせず、それもまた個性である、と言う切り口は新鮮と言うか、少なくとも現代的、とは言えると思う。
 そして、多様性を容認する中で必要なのは、相互理解とコミュニケーションなのだ、と言うのも、これもまた現代として語るべきものだろう。

 ただ、そうなると映画の構成には疑問も残る。
 “火曜日”の、“水曜日”を「消しちゃいけないんだ」と思う、最後の決断に至るまでの想い……それを生むのは“水曜日”を含む、他の曜日たちもまた、かけがえのない人生を生きていた、と言う描写……まず、各曜日ごとの暮らしを描き、それを大事にしたい、と言う事を観客にも共感させないといけないのではないだろうか?

 中村倫也は主人公をキュートに演じているし、一ノ瀬役の石橋菜津美も魅力的。
 テーマも現代的で、口当たりよく小綺麗にまとまった映画なのだけど、踏み込みが浅いと言うか、もうちょっと毒気があってもいいかな、と言うのはいささかひねくれた見方かな。

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