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2020年06月01日23:42

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月曜は……

 今日から神奈川県では映画館が再開。
 こうなれば、もう仕事などしていられない……と言う事で、今日は再開第1回目から観よう、と横浜ブルク13へ。

 1本目は、
 「暗数殺人」。
 これは、実際の連続殺人事件を元に再構成された映画。

 麻薬課の刑事、キム・ヒョンミンは、恋人を殺害して逮捕されているカン・テオと言う男から情報提供を受けて独自に捜査を行う。よかれと思って行った捜査だが、それが殺人課刑事の証拠捏造を明るみに出してしまい、カン・テオの刑期は短縮されてしまった。
 利用された事に気づいたキム・ヒョンミンだが、カン・テオは更に7人を殺害したと告白。余罪を追及する為、キム・ヒョンミンは殺人課への転属を希望、上層部の反対を押し切って捜査を進めるが……

 暗数殺人とは、行方不明者の中に含まれている、誰にも気づかれていない殺人事件の事。未解決事件どころか、捜査されてもいない殺人が、韓国では毎年200件ほどあるのでは、とされている。
 この映画はそうした現実を元に再構成されたもので、キム・ヒョンミン刑事にも、カン・テオにもモデルとなった人物がおり、被害者遺族からは上映差し止めの請求まであったのだとか。
 そんな背景から、本作は韓国映画としては珍しい程にエンターテイメント色を抑制。暴力シーンも少なく、アクションはほぼなし。笑えるようなシーンも殆どなく、社会派に徹している感じだ。
 でも、それでは面白くないか、と言われるとこれは抜群に面白い。
 カン・テオとの知的なかけひきには見応えがあるし、裁判に向け、その鉄壁のガードをどのように崩して行くのか、と言う法廷劇となる後半は、ハリウッドが得意とするそれにも劣らない面白さです。

 キム・ヒョンミンを演じるのは「1987、ある闘いの真実」のキム・ユンソク。そして、それ以上に存在感を見せるのが、カン・テオを演じたチュ・ジフンで、この得体の知れない男を見事に演じている。そして、「エクストリーム・ジョブ」のチン・ソンギュがキム・ヒョンミン刑事の数少ない相棒として登場、時折、何か仕掛けて来るのも見逃せない。

 キム・ヒョンミンは兄が資産家で、その援助も受けられるので、出世欲もないし、金にも不自由しない。ただ、刑事と言う仕事にやりがいを感じているから、その職のみに忠実で、上司の顔色も、組織の事情も彼には関係がない。
 謂わば、好きで仕事をしているようなもので、何事もそうなのだけど、好きでやっている事には敵わないな、と……


 2本目は、リバイバル上映で、
 「君の名は。」
 これは、2016年公開の新海誠によるオリジナル長編アニメ。
 
 山深い田舎町に暮らす女子高生の三葉は、ある日、自分が東京の男の子になる夢を見る。一方、東京で暮らす男子高校生の立花瀧も、行ったこともない山奥の町で自分が女子高生になっている夢を見ていて……

 やはり、美しい映像が美点の新海誠作品は劇場の大スクリーンで観ると違うなぁ、と言う感じ。
 既に幾度も観ているのですが、映像の美しさと、まるでミュージック・ビデオのような見事な音楽と映像の一体感は、観ていて本当に「気持ちいい」。
 物語も壮大なものだし、クライマックスでの、三葉の掌に書かれた文字と、そこに込められた想いが彼女に力を与えるシーンは幾度観ても感動する。

 そして、あらためて思うのは、本作がここまでヒットしたのは、時間と空間に引き裂かれ、すれ違う恋人たちを描いて来た作家である新海誠に、「出会い」と言う奇跡を描かせたことにある。
 名作と言うのは、作家性だけでなく、それを世の中とすり合わせ、多くの人々の心を打つ事で生まれる……本作に対しては川村元気プロデューサーは本当にいい仕事をしたと思う。


 3本目は、
 「COLD WAR あの歌、2つの心」。
 これは、第71回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞、翌年のアカデミー賞で監督賞他にノミネートされたポーランド映画。
 監督は「イーダ」のパヴェウ・パヴリコフスキ。

 1949年、ポーランド。民族音楽を収集・研究していたピアニストのヴィクトルは、国が進める音楽舞踊団の結成に関わることになり、そこでオーディションに応募してきた歌手志望のズーラと出会う。
 程なく恋に落ちた二人だが、芸術家として西側にも知られたヴィクトルは政府に監視されるようになり、公演先の東ベルリンで西側への亡命を決意。ズーラにも「共に来てくれ」と頼むのだが……

 冷戦、とタイトルにあるけれど、映画には、それを生んだ西側と東側の対立や、社会主義体制の政府による監視や弾圧、と言うのははっきりとは描かれず、ヴィクトルの亡命にしたって、ベルリンにまだ壁がない頃なので、身構える事なく検問所を通過するだけのあっさりとした描写でしかない。
 物語の中心は、あくまでヴィクトルとズーラの恋物語で、映画はそれを15年の長きに渡り、その出会いから永遠に結ばれるまでを描いている。
 また、パヴリコフスキ監督が登場人物のひとり、と言う音楽も素晴らしい。民族音楽をベースに、現代音楽として仕立てられ、ジャズにアレンジされ……歌詞も、言葉を変え、言語も変え、繰り返し歌われる「心」は印象的で、ふたりの恋路のその時、その時を写し出すよう。

 物語のテーマは、移ろい行く心、だろうか――ヴィクトルとズーラは、お互いを強く求め、愛し合っているのにも関わらず、離れて暮らせば別に恋人を作り、あるいは結婚し……でも、共にいれば衝突してしまう。
 そんな二人は、きっと「よりよい場所」を求め続けていたのでしょう――世界は変容し、引き裂かれているけれど、何処かに安住の地が、楽園がある筈だ……と。
 それは、最後、ベンチに座り2人で夕陽を眺めていながらも、「あっちの方が景色がいいわ」とズーラが言って、スクリーンから消えてしまうラストシーンに象徴されているように思った。


 今日の映画は、いずれも観客数人……「君の名は。」など、大きなNo.1スクリーンで観客2人ですから……いくら平日とは言え、大丈夫なのか、と思ってしまうほど。
 上映再開したとは言え、まだまだ安心できない状況が続きそうだなぁ……
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