66年のル・マン24時間レースで、
１位から３位を独占したフォード。
本作その競争と計画の先の光景を描く。
60年代、米国フォードは売り上げ不振にあった。
大衆車種から若者があこがれるスポーツカーに舵を切ったフォードは、
フェラーリ買収を計画する。
だが商売第一のフォード�鏡い反�人気質のエンツォ・フェラーリは対立。
熾烈なレースカー競争へと発展する。*1
モータースポーツを題材にするが、
主題は危険と隣り合わせの開発計画。*2
計画を推し進め同時に翻弄もされるシェルビー（マット・デイモン）と、
マイルズ（クリスチャン・ベール）が組織の中であがく。
そうして66年のレースの模様を最高潮へ用意する。
作品は主役２人と開発スタッフ、マイルズ家族をイノセントに描く。*3
速い車を作り、車を愛し勝利を追う。一方、フォードの経営陣は社長をふくめ傲慢。
浪漫より利益重視の俗物だ。一部は自身の利益に２人の邪魔までする。
外にも敵。内にも敵。どうやら時代関係なくどの会社でも内実は一緒。
面白い部分はエンツォをふくめ仇役の方が、
レースカーづくりによっぽどプライドを持ちリスペクトできる部分だろう。*4
ただ２人の純粋さは、反骨と実力を武器に障害を乗り越え周囲を巻き込む。
そうして伝説のレースの向こう側に見る光景は一緒だ。
マイルズはシェルビーを、シェルビーはマイルズを第一に想い、
車作りへの愛へと殉じる。競争と計画を越え側に立つ相棒を想い２人はゴールする。
※１ 映画の中での２社の対立の原因は社長と社長のプライドが衝突した結果だ。しょうもない。ただしょうもないことが歴史を刻んで動かすのかもしれない。
※２ 無理矢理大型エンジンを積載した無茶でタイヤがバーストしてマイルズともどもあわやの状態になる、計器には頼らず車体に吹き流しを貼り付けると艱難辛苦の連続だ。
※３ この部分は若干ずるい部分だろう。史実におけるキャロル・シェルビーは複数の離婚や傲慢な性格などかなり問題の多い人物だったからだ。
※４ フォード２世が食事のために、ヘリでレース場を離れるのにたいして、エンツォはずっとレースを始めから終りまで見続ける。
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