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2019年12月19日19:07

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モジョ・ミキボー(Mojo Mickybo)@シアタートラム

演劇ユニット「イマシバシノアヤウサ(今暫しの危うさ)」は、文学座の俳優浅野さんと
石橋さんに演出家の鵜山さんが加わって、その苗字のアナグラムです
旗揚げ公演は今から9年前、その演目を再々演の形で行った、それを本日観て
参りました(初演・再演は情報を得られなかったので未観であります)

モジョとミキボーは北アイルランドの首府ベルファストに住む二人の少年の名前
どうやら9歳という設定のようですが、それをアラフォーの役者が演ずる、それも
この戯曲の設定のうちです

今年8月にこのユニットが演じた「アイランド」は文字通りの二人芝居で二人の役者が
二人の人物を演ずる、そしてワタシが初めてこのユニットでの公演を拝観した「ロー
ゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」は、二人の主役を取り巻く登場人物たち
も人形や映像を使って二人の役者で演ずる演出でしたが、今回の作品は主役を
含め17人の登場人物を二人で演じてしまうという風に最初から書かれているようです

ワタシは楠さんの一人シェイクスピアで慣れておりますが、楠さんの前説で「右を向い
ている人と左を向いている人は別の人です」という、落語にもよくある演じ方です
その変わり身の早いこと、単に右を向いたり左を向いたりでは混乱するかもとの
気遣いでしょうか、エプロンをしたり帽子を被ったりと、それがまた忙しい

因みに「ミキボーと僕」というタイトルで映画化もされているようですが、それは普通に
各役割をそれぞれ別の役者が演じているらしい(面白さが半減ですね)
これはつまり、演劇的手法ではなく、描かれている少年の友情とそれを破壊するもの
をリアリスティックに訴えたかったのでしょう

さよう、殆どシンメトリーに設定されている二人の少年(そのため、どっちがモジョで
どっちがミキボーだったっけとあやふやになる)、しかしモジョはプロテスタント、
ミキボーはカトリック、置かれている立場が違うのです
時代背景は北アイルランド紛争の真っただ中、成長期の少年たちが粋がって
喧嘩をしたり、背伸びして煙草をすったり、映画で観るアウトローの姿に憧れたり
というのが、いつしかリアルな宗教上の対立、政治的紛争に巻き込まれていく怖さを
描いているのですね

その映画は「明日に向かって撃て」ちょうど1970年にリリースされた作品です
映画館でその映画に夢中になる場面では、石橋さんと浅野さんが演ずるブッチ・
キャシディとサンダンス・キッドの映像が映写され、劇場内は爆笑に包まれます

しかし、この映画の最後が二人の(多分)死で終わることを暗示させつつもその直前で
終わらせているように、北アイルランド紛争の中、二人の少年がどうなったかは明らかに
せず暗転で幕となり、後にはなんともいえない寂寥感が残ります

二人芝居の旗揚げに相応しい作品で、それをレパートリー演目としていることも納得
この後も新作を採り上げる一方で演じ続けてもらいたいものです
今年の我がシアターゴーイング・ベスト10に加えましょう
ワタシの拝観した今年の鵜山演出作品、これが最後で12本目になります

お三方の画像はツイッターから無断で拝借しました(リンクを張るべきでした)
向かって左が浅野さん、右が石橋さんです(中央は言うまでもなく)
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