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2019年12月14日23:42

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LSD オセロー@浅草リトルシアター

楠美津香さんの一人シェイクスピア、今回はアンケートによる観客リクエストから標題作と
なりましたが、あまりにも有名作なのでワタシはもう5回目です
で、毎回書いている通り、観れば観るほど解せない筋書きです

イアーゴーには動機があるが目的が不明であります
彼にとって一番憎むべき相手はオセローであるのに、彼を亡き者にしようとはしない
最後に自害しますが、これはイアーゴーの想定外(メンタル的に追い込んだとは言える)
ロダリーゴとエミーリアとデズデモーナが哀れにも殺されますが、いずれも彼の憎しみの
対象ではなかった

実はデズデモーナについては、この戯曲の原作であるツィンツィオ作「百物語」においては
イアーゴー(に相当する旗手)が思いを寄せており、しかし相手にされないので可愛さ余って
憎さ百倍となり、イアーゴー自身によって殺害されるという設定になっています

これを何故シェイクスピアは今日のような筋書きに書き換えたのか

ワタシ思うに、その方が悲劇性が増し、イアーゴーの卑劣さが強調されるからでありましょう
自分が袖にした男に殺されるのではなく、愛するものの手にかかって死ぬ
オセローもまた誤解によって愛するものの命を奪ってしまい、それを悔いて自害する(原作
ではイアーゴーの虚偽の証言によりデズデモーナ殺しの嫌疑をかけられて、その親戚によっ
て殺される)、ドラマのためのドラマであるような気がします

イアーゴーの妻エミーリアの行動もまた不可解で、原作ではデズデモーナのハンカチを奪う
のはイアーゴーであるのに、シェイクスピアの改変ではエミーリアがこれを拾い、それを
イアーゴーに奪い取られ、何故かそのことをデズデモーナに言わないでいる
イアーゴーを恐れているためではないようで、その証拠に最後では夫のことを皆の前でケチョ
ンパンにけなし、口封じのため殺されてしまいます

これもまた、原作では単なるデズデモーナの忠実な侍女であるのに加え、したたかさを
もった女の怖さ(と弱さ)を背負わされたのでしょうか

というようなことを考えさせられましたが、LSDではひたすらハチャメチャなドリフ風コント
に仕上げ、また原作にはない後日譚まで付け加えて喜劇ともとられる作品としています

途中台詞が飛んで台本を読み直す場面もありましたが、快調な運びで上演時間は2時間を
切り、おかげで終演後には「れんげ食堂Toshu」で豚キムチ炒め定食餃子セットという夕食を
取る余裕ができました

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