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2019年10月25日01:45

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そろそろフランケンシュタイン・コンプレックスから脱却しては?

 11月8日から『ターミネーター:ニューフェイト』が公開される。昔なら「おお!『ターミネーター』の新作だ!」と喜ぶところなのだけれども、ここ数年は「まあ、新作だからせっかくなら観にいくか」になってしまっている。
 だって全部基本的に「未来から特定人物を殺しにやってくるAIロボットと戦う」という同じストーリーなんだもの。そもそも『ターミネーター』への不満と言うのは「シンギュラリティを起こしたAIは人類を絶滅させるに決まっている」というネタを1980年代からずっとやっていること。20世紀はそれでいいけれども、21世紀になっても同じことをやっているのがどうも気にかかるのだ。
 アシモフはかつて「フランケンシュタイン・コンプレックス」という言葉を使って「人間は自らが生み出したものに滅ぼされるという潜在的な恐怖を抱えている」とした。もちろんアシモフ自身は「ロボットシリーズ」でそれを否定するために「ロボット三原則」を提唱してそういう恐怖を越えた先のロボットと人間との係わりの物語を作ろうとした。
 しかしながらアメリカの映像SFにおいては「判りやすい設定」ということで延々と人類に反乱を起こす人工知能が出現し続けている。
 その点日本ではフランケンシュタイン・コンプレックスがそれほどないせいか人類を支配する人工知能(マザーコンピューターとかいう感じ)は脇役的であり、それこそ手塚治虫の『火の鳥・未来編』から永野護の『フールオンザヒル』まで管理が主であり、能動的に絶滅させるというところまではいかなかった。
 さらに言えば目的として人類絶滅を目指したのは『大鉄人17』のコンピューターのブレインがあるけれども、これに対してなんと人類はブレインよりもバージョアップしたコンピューターのビッグエンジェルを製造してブレインに対抗しようとする。これ、もしもブレインよりももっと効率的に人類絶滅を計画するとは思わなかったのか?きちんと人類への恭順をプログラミングすれば反乱は起こさない、というAIへの信頼をむしろ感じる。
 2台のコンピューターといえばジョセフ・サージェントの『地球破壊作戦』(リメイクの話があったけれども、なんか中止になったらしい)ではアメリカとソ連の戦略コンピューターが互いの存在を知って情報交換した末に「人類を支配しよう」と決心したことを考えたらフランケンシュタイン・コンプレックスは根深いなあ。
 『仮面ライダー01』のオープニングの1シーンでは襲い来るAIロボットと激しい戦闘を行ない、廃墟で傷つき倒れた主人公に美少女AI秘書が手を差し伸べて立ち上がった主人公は二人で再び戦いに挑む。ここのシーンは何度見ても感動する。
 『ターミネーター』もそろそろ「スカイネットの開発者を殺す」とか「スカイネットの起動を阻止する」とかではなく、スカイネットのシンギュラリティに「人類を絶滅させる以外の方法を考慮する情報を与える」的な展開でもいいと思うのだけれども。


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