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2019年10月23日20:39

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文化座公演 地にありて静かに@シアターX(カイ)

今年10本目の鵜山君演出作品です(実際には他に舞台芸術学院卒業公演があったらしい)
文化座公演としては過去に2作品拝観しており、演出家の言葉によると距離感を抱いている
そうで、そのためか、いつもの鵜山調とは若干異なったものを感じます

カナダの劇作家アン・チスレット女史の手になる物で、第一次大戦の頃のカナダを舞台に、
アーミッシュと呼ばれるキリスト教原理主義者の集落での、なんというか新旧世代の確執・
家庭劇と捉えるのがいいのかな、宗教的なことについては当方は全くの門外漢でして、それは
演出家も同じではないでしょうか

この作品でのアーミッシュの人々はドイツからの移民をルーツとしており、英語も(基本的には)
話さないし、面倒な事には宗教的戒律は近代文明の忌避、不戦の立場を貫き、服装についても
細かな定めがある、ワタシなんかの理解の外にあります

キリスト自身が旧弊を打破し、安息日を無視したり、アウトサイダーとされる人々を率先して
救う等の、革新的活動を行った人であるのに、それでもなお種々のタブーを設定しなければ
ならないんですかね

ワタシなんかは破戒僧とまではいかないけれど、結構そういう形骸化したタブーについては懐疑
的で、信仰の本質とは違うのではないかという考えを持っておりますので、本日の舞台背景に
ついてはいささか居心地の悪い思いをしておりました

作者のチスレット女史もおそらく本人はアーミッシュではないのでしょう、息子世代に「造反」を
試みさせておりますが、そうして司教である父に背いて徴兵に応じたものの、戦場で敵兵を
殺し、失意のうちに帰国する、この親子の如何ともしがたい断絶の後味の悪い幕切れは
どうしたらいいのか(父親が正しかったのか)

興味深かったのは、カナダ(英国領?)に於いては宗教的理由による徴兵忌避を認めている
ことで、その代り非国民のそしりを受けることになりますし、戦地に赴いて負傷して帰った
人からの非難をあびることになります

汝殺す勿れが最大の戒律ではないのでしょうかね
それなのに、現代でも宗教的対立により無辜の命が奪われている、殺すことの前に闘うことが
まずある、ということでしょうか(あらゆる生物の本質がこれなのでしょうか)

答えのない問いを投げかけられた気がします

10分間の休憩を挟み、上演時間は2時間50分(掲示にあったものは足し算が合いません)
終演後はシアターXの隣にある回向院で鼠小僧の墓に詣で、しかしその墓石を削るとご利益
があるらしいのですが、何のご利益か不明だったので、単に写真に撮るのみ

ちょうど5時となったので時分時、やよい軒でサバの味噌煮定食を頂いて帰ってきました
うーむ、今日の観劇で得たものはなんだったのだろう



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