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2019年10月06日22:24

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「ジョーカー」映画

『ジョーカー』
<ストーリー>
 貧困家庭で母と暮らすコメディアン志望の青年アーサーはしかし、脳の損傷のせいで突然笑い出す癖を持ち、それが誤解を生んで皆からも気味悪がられていた。そんなある日、偶然手にした銃から悲劇が始まる・・・
<ストーリー>
 格差社会で生まれる貧困問題や、切り捨てられる福祉、心優しい青年が傷つき病んでやがて暴発するなどのテーマは実は普遍的なものであり、70年代の日本映画などではよく見られたものだ。そんなテーマがアメコミという寓話を使って描かれるがゆえにどの時代でも通用するような物語となっているのがこの作品の得特徴かな。
 これまでのバットマン映画では舞台となる“ゴッサム・シティ”が実に凝った造形で描かれてきた。それはティム・バートンの映画版だけでなく、近年の『ゴッサム・シティ・エンジェル』や『ゴッサム』などのTVシリーズでも顕著でゴッサム・シティのセットがある意味作品のカラーを物語っていた。ところが本作においてはニューヨークやシカゴを思わせるような高架線の走る下町であり、ゴッサムの荘厳な雰囲気は全く感じられない。それはゴッサムという異世界ではなく、アーサーという青年の変貌こそが本当に描きたいものであるから本当はゴッサムという町も必要なかったかもしれない。だからホアキン・フェニックスのアーサーの演技は確かに鬼気迫るものがあり、彼が徐々に狂っていくのを息を詰めて見つめるしかないのだ。それを支える画面構成もまた素晴らしく、要所要所で不必要なほど絵画的、映像的なため息をつくほど美しい画面が現れる。バスに乗ったアーサーであったり、長い階段をよろめきながら上がっていく構図であったり、そして最初の殺人の後で公衆トイレで踊り出すアーサーの姿などまさに映画の力を感じさせてくれる。
 さて、この作品が『タクシー・ドライバー』を下敷きにしていることは監督本人も表明していて、だからこそロバート・デ・ニーロが重要な役で出ているのだけれども、これもまた実に象徴的。『タクシー・ドライバー』ではジョーカーになろうとして阻止されたためにバットマンになってしまった青年が描かれたけれどもこの映画の主人公はジョーカーにしかなれなかった。だからこその寓話なのである。

ジョーカー
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