血が滴るツチクジラのステーキ

　昨日、久しぶりに浦安に行く。ここはこじんまりとした魚市場があったけど惜しいことにこの春に閉めてしまった。猫実(ねこざね)という町があってそこの魚屋さん。
　地元密着というかほとんど文化の違いを感じた。その日の売りは、「つちくじら」。割当量二十数匹の今年の最後のほうがはいったらしい。
　グロに見える人もいるかもしれないが、僕だって九州の捕鯨基地だった町の生まれです。全然平気。真っ赤な血だらけの肉塊は、やっぱうまそうで買わずにはおられない。
　女将さんのいいぶりがよい。この血は洗っちゃダメよ。血がおいしくて甘いの。なんだか口の周りを血に染めた吸血鬼の集まりみたい。客も先を争うよう。美味しさいろいろなのです。特上の素晴らしい赤身が100ｇ３００円強。
　ショウガ醤油で食う刺身はもちろんいいけど、厚さ3センチ近くあるステーキがうまいのなんの。文字通り血が滴っています、ベリーレア。クジラ臭さゼロで、噛むと独特の肉のうまみ。何十年ぶりかも。夏から今頃だけのもので、次は来年とか言ってた。
　いい魚屋は親切。途中で切り出したフィレのほうが筋がなくて、おかみさんが「こっちに代えてあげようか」と変えてくれた。すこし刺身、あとはぶ厚くステーキ。千円しないんだから。ウィスキーとばっちり。
　もとは埋め立て地なんだっけ。ここらは運河が走ってて、水音がする法を振り向いたらボラが空中に舞ってた。写真は無理ですね。水面の写真、20センチくらいのがのんびり泳いでた。東西線で30分、かなり違う空気と世界。千葉はワイルドです。