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2019年10月03日01:24

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「破滅の魔導王とゴーレムの蛮妃 02」本

『破滅の魔導王とゴーレムの蛮妃2』
<ストーリー>
 やっと町に辿り着いた主人公のネマキと相棒の美少女ゴーレム“ゴレ太郎”は魔獣から採取した魔導核を売りに行く。しかし、実は不当に買い叩かれてしまったと知ったネマキは抗議に店に戻るが、そこで店主を脅す金貸したちと遭遇する・・・
<コメント>
 1巻を読んで「面白いけれども、この面白さって何なんだろう?」と頭を捻った。パジャマ姿で異世界に召喚された主人公がからくも洗脳を逃れて(足の小指をぶつけたせい!)自分が土属性の魔法を使えると知る。そしてさっそく教科書に載っていた術式でゴーレムを作ってこれを相棒として元の世界に戻るための旅に出るが、“ゴレ太郎”と名づけた巨大なデッサン人形のゴーレムがなぜかエルフの美少女姿となってしまい、最強のパワーを発揮する・・・。多分世界の設定がかなり念入りに作られたはずのようだが、なぜかいまいち伝わってこない。でもそんなもどかしさの中で主人公の能天気さと美少女ゴーレムの魅力に思わず読みきってしまった。
 そして2巻を読んでこの面白さの原因がなんとなく判った。これはいわゆる「真面目なコメディ」なのだ。主人公はこの世界の理をよく理解していないのだけれども、それでも文明人として倫理と誠意で事態を乗り切ろうとする。一人称で書かれているので主人公の奮闘振りは読者には納得のいくものである。ところが、よく読めば実は主人公の思惑や行動がこの世界の常識からしたらかなり頓珍漢であることがなんとなく判ってくる。例えば主人公の相棒の美少女ゴーレムは知性があって自立して行動している。しかし、実はこの世界のゴーレムではそうではないのだけれども、主人公はそれを知らない。そしておそらく知性と理性のある美少女ゴーレムはものすごく主人公を愛しているのだけれども、主人公はその愛情を愛犬のそれと思い込んでいる。(第一巻でゴーレムを作るときに主人公は「自分の相棒になってくれ」と命じるのだが、それが「伴侶」と翻訳されたことに未だに気づかない)町で様々な人と会うことでその頓珍漢さがますます増幅されていく。主人公が大真面目にやることがこの世界の常識からは外れているためにやがて主人公がとんでもない事態にやがて巻き込まれようとしているであろうとところまで描かれているのだが、それでも全編を通じて主人公の優しさとこれを支える美少女ゴーレムの健気さと実は最強のパワーを持つ二人の前に残酷な世界が打ち壊されていくのだ。
 変格の異世界ファンタジーとして妙に心惹かれる佳作。

破滅の魔導王とゴーレムの蛮妃 02
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