結婚を控えた男性精神科医の元に、昔の恋人からの手紙が9年ぶりに届き、それを契機に学生時代の出来事と現在の出来事を「恋愛とは何か」を主題に展開される物語。
「四月になれば彼女は」という題名にひかれて手に取った小説。そう、サイモンとガーファンクルの名曲の一つですね。
きっと、この歌に関係のある物語だろうと思って読み進めたけれど、なかなかそれらしい内容が現れない。あれっと思いながら読み進めると、やっと86ページに夜の砂浜で青年が口ずさんだ曲が「四月になれば彼女は(April come she will)」
これ以降、所々にこの曲は出てきました。最後の方では、映画「卒業」も出てきて納得。。
この小説は、読んでいてワクワクしたりするような物語ではなく、昔の恋人の写真の様に薄いベールに包まれた柔らかな感じだった。
読み終わってみると、良い物語だと感じる。物語の終盤に出てくる死を直前に控えた昔の恋人からの手紙が印象的だったからだろう。
何故、彼女は手紙を書いたのか?
「わたしは、わたしに会いたかった。あなたのことが好きだった頃のわたしに。」
彼女にとって死とは?
「自分はこの世界から失われるのではなく、溶け込んでいくのだ。」
この小説の中で昔の恋人である彼女は、癌で死んだ。サイモンとガーファンクルの歌に出てくる彼女も死んだ。同じなんだなぁ〜
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