『「神戸のおじいちゃん家に行きたい!」』
3歳の甥っ子が言ったとき、父は喜んでいた。
古くボロボロな家に行きたい!
そう言う3歳児を愛らしく思った。
なんにもない家に来たいと、
言ってくれる人はそういない。
行きは歩いたが、
帰りは、たつの湯からタクシーに乗った。
住所を言って、
道順をナビに入力してもらう。
どこか詳しく聞く運転手に、
6歳の甥っ子が
「ボロクサイ家なんです!
ボロクサイ家まで行ってください!!!」
必要な情報が何も伝わらない...。
大人が笑うと、子どもは調子に乗って、
3歳の甥っ子も「ボロクサイいえ」と言う。
二人が何度も言うのが面白かった。
ボロクサイそんな日本語どこで覚えたのか...。
古いとかボロいとかそういう言葉は浮かぶ。
ボロクサイ...自分の中には、ない発想。
タクシーの中でも賑やかな子ども。
有り余る元気さに歩いた方がよかったかな...。
「一番、手のかかかる時期ですね。」
運転手さんが言った。
「そういうものですか?!?!」
手のかかかる時期を、愛らしく思った。
ちょっとことで、コロコロかわる気分。
どの姿も、覚えていたい。
日常の中にある、すべて近くにある。
ボロクサイ家が、好きだった。
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