「マッド・ダディ」DVD

『マッド・ダディ』
＜ストーリー＞
　会社員のブレントは黒人のデイモンとつきあっている高校生の娘や大事な愛車に犬の死体を持ち込んだ息子のジェシーに苛立ちながらも会社の出かけるが、ＴＶで親が子供を殺す事件が連続しているというニュースを見る・・・
＜コメント＞
　永井豪に『ススムちゃん大ショック』という短編マンガがある。ある日突如親が自分の子供を殺し始める世界になるという短編で話的にはワンアイデアだけで特に何のひねりも解決もなく、ただただ不快なだけを狙った作品で次々と子供が殺されていくだけというショッキングさは大したもので後味の悪さも含めていわゆる問題作ではあると思った。
　なんとこの作品は同じ設定そのままで１時間半の映画となっているのだ。もちろんアメリカ映画なので子供が実際に殺されるシーンは描写されずにその一歩手前とニュースで語られるだけなのだが、それでも「アメリカ中で親が子供を殺しています」というくだりは十分に怖い。そして世界の変化に気づいた高校生の娘が恋人と共に自宅にいる弟を救おうと帰宅して、襲撃してくる父親と母親から逃げる展開になって後半はほぼ一軒家の中で姉弟が両親から逃げるというよくある展開になるのだけれども、もうほとんどコメディ一歩手前のホラーとなっている。この作品の凄いのは狂った両親をニコラス・ケイジとセルマ・ブレアという一流どころにやらせていて、さらに終盤ではランス・ヘンリクセンまで乱入してくる。このあたりになると怖がるべきなのに、笑っていいのかという展開になってしまい画面は名優たちの迫力だけになってしまうのだ。
　さすがに『ススムちゃん大ショック』のようなラストシーンにはならなかったけれども、これはこれで怖いシーンになっていたのでまあ、いいか。しかし「狂ったように変な映画に出続けるニコラス・ケイジ」の狂った演技は大したもので『シャイニング』のジャック・ニコルスンといいうれしそうに子供を殺そうとする父親というのは似たような顔と演技になるのだなあ。

マッド・ダディ[DVD]
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