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2019年06月05日16:34

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新潟駅南で新設バス路線を空想してみる

【はじめに】
2015年9月5日の新潟市BRTの暫定開業並びに新バスシステムのスタートをきっかけに、インターネット上では新潟市の地域公共交通の改善に向けた議論が日々繰り広げられています。このうち、市内バス路線網の再編に関しても、これまで多くの人々が私案を公開し議論されてきました。

これまで当方としての考えは、公共交通でのアクセスを重視した都市計画・土地利用や脱クルマ依存の交通政策とのリンクなき「バス路線再編私案」はナンセンスだという立場。これは、長年にわたるモータリゼーションによって市民の間に確立された「自家用車での移動を前提としたライフスタイル」と、そうした市民のニーズを受け自家用車での利便性に配慮した都市開発が進められた結果としての「車依存型の都市構造」こそ、地域公共交通の衰退をもたらした外的要因と捉えたことによるものです。この立場は現在も変わりません。

しかし、5月9日に都市計画道路新潟鳥屋野線が暫定2車線で開通し、この道路を活用したバス路線の運行に期待を寄せる意見がネット上で散見される中、改めて地図を眺めると中央区駅南地区においてバス交通の不便な地域がなお存在していることに気づきました。ここでいう「バス交通の不便な地域」とは、最寄りのバス停までの距離が長いため徒歩でのアクセスが容易ではないことを指し、BRTの暫定開業に伴う路線再編で古町・本町地区へは乗り換えが必要になったという意味での「不便」とは異なります。

そこで、最寄りバス停までの移動距離を減らすべく、駅南地区のバス交通充実を図り、バス交通の利用者増加に資することを目的として、ここに私案を公開することにしたものです。
既にインターネット上で公開されている諸氏の私案で、本案に近い運行内容が提示されているかもしれませんが、ここでは考慮しません。

なお、当方はここで提案するルートの沿線で生活活動をしているわけではありません。あくまで「部外者」からの目によるものであり、最終的には都市計画・土地利用との連携や脱クルマ依存の方向性に沿いつつ、沿線地域に在住・在勤している方々のニーズや生活パターンがルートやダイヤに反映されるべきものと考えます。沿線地域の人々が「自分たちのバス」としての意識をもち、路線を育てていくことが、その路線の存続につながっていくと考えられるからです。

【路線概要】
提案する路線は、起終点・経路において複数の候補案があることから、まず基本系統を示します。
・新潟駅南口〜市道駅南線(けやき通り)〜市道新潟鳥屋野線〜市道紫竹山鳥屋野線(紫鳥線)〜市道明石紫竹山線〜市道駅南線〜新潟駅南口

新潟駅南口を起終点とし、周辺地区を循環するルートです。
このルートの沿線地域にはマンションが数多く立地しており、人口が集積しています。
2015年実施の国勢調査による沿線地域の町丁名別人口は、10年前(2005年)の国勢調査の数値と比較すると横ばいもしくは減少傾向にある町内が多いものの、天神尾1丁目(824人 +7.3%)や南笹口1・2丁目(1丁目2,789人 +11.7%、2丁目1,080人 +25.7%)では増加傾向となっています。
また沿線地域では事業所が多く立地しており、そのほとんどが自家用車通勤に対応して駐車場を併設しているほか、社有車による通勤者も多いと思われます。脱クルマ依存の観点から公共交通へのモーダルシフトを促す必要があるものと考えます。
さらに、市道明石紫竹山線沿いをはじめ沿線各地にスーパーやドラッグストア、量販店等が立地しており、高齢層を中心とした買い物利用も見込めるものと考えます。
*市道明石紫竹山線(鐙1・3丁目付近)
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沿線には神道寺1丁目や鐙3丁目をはじめ、人口が集積していながらバス停そのものから500m以上離れている地域も多くみられます。国道7号線栗ノ木道路(万代島ルート)建設に伴う地表道路整備や、新潟駅高架下交通広場の供用開始(2022年度ごろ)に伴って実施が予想されるバス路線再編等で改善される可能性もありますが、バス路線の新設によって特に高齢者や障がい者の移動距離短縮を図り、利便性を改善させるのが手っ取り早いのではないかと考えます。また、沿線住民が旅行や出張等で大きな荷物を手にしながら新潟駅まで徒歩で移動するのは距離的にも辛く、自宅近くから「ちょい乗り」できるバスの存在はそうした人たちのニーズに応えられるのではないかと考えます。
*市道新潟鳥屋野線(米山6丁目付近)
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以上が基本系統となりますが、途中区間並びに起終点についてはいくつか複数の候補案をもっておりますので、ここで提示することにします。

途中区間としては、市道新潟鳥屋野線〜市道明石紫竹山線の東西間が対象。
基本系統では紫鳥線経由としましたが、弁天線との交差点が慢性的な渋滞スポットとなっており、定時運行の妨げとなる可能性があります。このため、1案として紫鳥線北側の市道網川原線、2案として新潟バイパス南側の市道女池紫竹山線(鳥屋野潟湖畔)をそれぞれ経由します。
*1案にあたる市道網川原線(米山6丁目・鐙西2丁目付近)
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基本系統と2案については、新潟市立鳥屋野総合体育館(神道寺南2丁目)に立ち寄ることも考慮に入れてよいでしょう。現在の最寄りバス停から距離が大きく離れた神道寺南1・2丁目と同体育館へのアクセシビリティ改善に資すると思われます。

起終点についても、基本系統では新潟駅南口としましたが、期間を分けて新潟鳥屋野線経由の万代シテイ発着、また八千代橋経由で古町発着の3バージョンで社会実験を行うことがベストと考えます。3バージョンのうち、どのバージョンが利用者を多く獲得できるかを判断したうえで本運行につなげられるのではないかと思います。
*市道新潟鳥屋野線(水島町付近、万代シテイ並びに古町発着での経路を想定)
フォト


以上から、新潟駅南口発着・市立鳥屋野総合体育館経由の基本系統とした場合のルートを示します。


【過去の事例から】
沿線地域のうち、神道寺1・2丁目と紫竹山1〜3丁目では、過去に南循環線(のちの鳥屋野体育館線)が運行されていました。

新潟交通が当時進めていた市内バス路線再編の一環として、1986年4月1日に運行を開始。当初は新潟駅南口→笹出線→和合線→紫鳥線→鳥屋野体育館前→市民病院前(現・新潟市総合保健医療センター並びに一般財団法人健康医学予防協会 新潟健診プラザ)→弁天線→新潟駅南口のルートで、小型バス「スニーカーS」(いすゞジャーニーQ・P-MR112F)を投入。平休日を問わず日中のみ24本(20分間隔)の運行でした。

しかし利用状況が芳しくなかったのか、同年12月1日改正で万代シテイ〜西跨線橋〜笹出線〜新潟駅南口〜弁天線〜市民病院前〜鳥屋野体育館前の往復運行(20〜30分間隔)に変更。しばらくはこの運行形態が続きましたが、2003年1月に不採算を理由として同社は廃止の方針を示し、2005年3月31日限りで廃止となりました。この間に減便も進み、末期の運行本数は1日6往復でした。

万代シテイ発着となってからは20〜30分間隔運行などにより一定の利用者を獲得したとみられますが、渋滞による定時性喪失や度重なる運賃改訂(市内均一区間運賃は1987年140円→2005年180円)、さらには減便などで利用者の減少が進んだものと考えられます。こうした過去の経緯を踏まえると、既存路線と同様の対応では利用者を獲得することが難しく、これまでにないコンセプトで対応することが必要と思われます。

【ダイヤ・運賃・停留所】
現在、新潟交通は深刻な運転士不足に陥っています。BRT・新バスシステムの特徴であるゾーンバスシステムは、バス路線の役割を幹線と支線とを分担させることで、運転士と車両という限られた資源(リソース)を効率的に回転させることができます。しかし、乗り換えの発生に対する利用者からの不満を受け、中原市長は残り4台のBRT用連節バス導入計画を一時凍結。今年度中の総括→見直しを行う方針を示しており、現時点で新潟交通に新路線を開設させる余力はほとんどないとみています。このため、本案は「運転士不足の解消」と「連節バス4台導入・ゾーンバス化の推進」が前提条件となります。

ダイヤについては、多様なバリエーションが想定されます。
新潟交通は2017年3月25日に、みなと循環線を新設しました。
小型バスを使用し、平休日を問わず日中のみ8本(1時間おき)の片回り運行です。
最大の狙いは本町・古町地区への直通運行が激減した沼垂地区でのアクセシビリティ改善ですが、人口の集積している地区でありながら1時間おきの運行なのが課題です。
このため、「待たずに乗れる」ことが基本に据えられる必要があると考えます。
少なくとも南循環線新設当初の20分間隔は必要で、理想としては15分間隔でしょう。

運行時間帯については、高齢層の移動環境改善を主目的とするならば、日中時間帯のみの運行で十分でしょう。しかし、沿線事業所への通勤においてモーダルシフトを目指すならば、あるいは大きな荷物を手にしながら新潟駅に向かう沿線住民を取り込むならば、当然ながら既存路線と同程度の終日運行が望まれます。また、新潟駅南口→北越高校への通学需要(特に雨天・積雪時)を取り込むという発想があってもよいでしょう。

運行形態は、限られた車両数を回転させる観点から両回り運行にこだわる必要はなく、片回り運行でよいでしょう。その際、時計回り(米山地区先回り)・反時計回り(南笹口地区先回り)のどちらが利用者のニーズを集めやすいか検討する必要があるでしょう。

運賃については、できるだけ多くの利用者を集める観点から100円均一が望ましいです。
採算確保が難しいのであれば、市内均一運賃(現在は210円)に合わせたうえで、均一区間外の紫鳥線区間や市立鳥屋野総合体育館を経路に含める際は均一区間内に編入することが理想です。また、古町並びに万代シテイ発着とする場合は、JR線以南の地域内利用のみ100円均一、JR線を跨いでの利用並びにJR線以北の地域内利用は均一運賃にあわせるという手法があります。なお100円運賃を採用する場合、新潟駅南口から徒歩で新潟駅前まで移動して万代シテイや本町・古町までバスを利用したときの合算運賃を均一運賃にあわせるのも方法のひとつと考えます(「りゅーと」まち割60として対応)。

バス停間隔については、まず新潟交通ホームページの運賃表・キロ数表を覗いてみます。
沿線周辺の既存路線のバス停間隔が0.3〜0.5kmとなっているのを確認できます。
なお、【S8】【S9】【E8】の馬越〜紫竹の間は0.8kmと少し長めになっています。
高齢層の移動環境改善を主目的とする場合、あるいはキャリーバッグ等での出張・旅行や悪天候時を考慮する場合、バス停間隔を短くすることは徒歩での移動距離短縮につながると同時に利用促進につながる可能性があります。
http://www.niigata-kotsu.co.jp/~noriai/unchinkiro/index.htm

コミュニティバスの成功例として名高い武蔵野市の「ムーバス」が、交通空白域解消を目的にバス停間隔を約200mとしたことは示唆深いでしょう。ただ、200m間隔は目安にすぎず、集客力の高い店舗や施設の前にバス停を設けるなど、利便性に配慮した設定が望まれます。その際、自宅前のバス停設置に反対する人もいるでしょうから、地域内の合意形成づくりが重要になりそうです。

車両については、大量輸送を目的としているわけではありませんので、日野ポンチョなどの小型車で十分でしょう。

最後にPR。
新路線ともなれば、地域の人々に好んで利用される存在でなければいけません。
地域の人々に存在が認知される路線でなければ、「空気を運ぶ赤字バス」という悪い印象をもたれることにもなりかねません。
できれば、運行開始にあたって地域の参画が望まれます。その地域の生活にあったバス路線を作り、育て、守ることができれば、地域からの支持が集まるでしょう。
沿線町内会を通じた路線の周知や、スーパーなど住民が集まりやすい沿線店舗でのポスターやチラシの掲示、地域外からの利用を呼びかける新潟駅南口バス停での掲示やバス事業者のSNSによる告知など、恒常的なPR活動によって路線の存在をアピールし、利用促進につなげていくことも必要ではないかと考えます。

本案について、新潟市の「BRT・新バスシステム改善目安箱」への投稿並びに新潟交通への提案は当面行いません。新潟交通の運転士不足解消と、新潟市の連節バス4台導入・ゾーンバス化推進によって捻出可能なリソースが発生しない限り、対象地域にとって利便性が高く使いやすい路線にはなりえないと考えるからです。

以上、長文かつ乱文で読み辛いことをご容赦ください。

*2019.6.6 内容に一部誤りがあり、該当箇所を訂正。
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