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2019年04月10日19:48

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帰省

亡父没後23年、特にアニヴァーサリーというわけではないですが、生誕100年です
享年77でしたから、歳の差が10歳まで近づきました
といっていつもと変わらぬ墓参りと妹の手料理、あとは旧友に会うでなし、ストーヴの
そばでひたすら読書に勤しみました

まずは先日のオペラ「ヴェルテル」の原作を高橋義孝氏の訳で
さすが文豪ゲーテであります、オペラ鑑賞日記の小賢しい感想が恥ずかしくなる

前半はヴェルテルが友人ヴィルヘルムに宛てた書簡で構成され、ストーリーに直接
関係のないエピソードも出て来ますが、そのひとつひとつが無駄ではない、流浪の若者
ヴェルテルの瑞やかな感性が綴られて、その上で出会ったシャルロッテの魅力に惹き
付けられる過程はいかにも自然です

なるほど、若きウェルテルの悩み、ウェルテルの若き悩みなのですね
人妻に恋する不倫ネタではない、恋した女性にたまたま婚約者がいたという
自分を押さえようとして押さえきれない、ついに死を選ぶのは水車小屋の娘と同じ
かつて高校生の頃のワタシもシューベルトを愛聴していたのでした
それを思い出しました

残り3分の1は編者(つまりゲーテです)が淡々と叙述する、その余韻がいいです
ヴェルテルがことのほか可愛がっていたシャルロッテの弟が、いつまでもヴェルテルの
骸にしがみついてはなれなかった、などという叙述には不覚にも涙が滲んできました

オペラだけに登場する、法官の友人シュミットとジョアン(シュミットは姓でジョアン
=ヨハンは名前ですね、不思議な役名の設定です)は、多分悲劇に終始させることの
ないように配された陽気な親父連でしょうし、謎のカップル:ブリュールマンとケート
ヒェンは、失恋しても立ち直る(であろう)者もいるという反例なのかもしれません
(ここが演出の腕の見せ処です)

それから、シャルロットの例の台詞も原作にはありませんでした
オペラ台本作家の創作なんですね、気を惹かれてちょっとがっかり

やはりオペラ「ヴェルテル」は原作を既に読んでいる観客を前提としているのかもしれ
ません

100頁足らずの短編でしたので、午後からはシェイクスピアの「じゃじゃ馬ならし」
週末に楠さんのLSDで見る予定ですので事前学習です
既に小田島訳は読んでおり、本日は福田恒存氏の格調高い訳で比べてみました
この戯曲は、キャタリーナというどうしようもない勝ち気で扱いにくい女性を、ペト
ルーチオがいかにして手なずけるかが主筋なのですが、その方法というのがある種
パワハラ・モラハラ、女性蔑視として問題作なのであります

しかも、こんなやりかたで女性を屈服できたら警察いらないよね、という感じなのですが
そこはシェイクスピアの上手いやり方で、劇中劇の設定にしてあります
つまり、あくまでもこれはお芝居なのですよという
かつてリチャード・バートンとエリザベス・テーラー夫妻による映画を観たことがあり
ますが、それだとリアル過ぎて後味が悪かったです

美津香さんがこれをいかにして料理するか、はるか昔のことなので覚えておりません
今週末が楽しみです

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