午前中、かかりつけのクリニックに行ってから水槽の水替え。
午後は、桜も咲いているだろうし、今年も大岡川の桜祭りへ。
桜の彼方にはランドマークタワーも見えます。
夕方、ジャック&ベティで映画2本。
1本目は、
「共犯者たち」。
これは、韓国の長期保守政権による言論弾圧を告発するドキュメンタリー。
公営放送局MBCの名物ジャーナリスト、チェ・スンホが弾圧により不当解雇された後に、自ら立ち上げたオルタナティブメディア「ニュース打破(韓国探査ジャーナリズムセンター)」にて製作したもの。
2008年、イ・ミョンバク政権は、メディアへの介入を開始。公営放送局MBCなどの放送局にて、政府に批判的なジャーナリストの不当な逮捕や解雇が相次ぐようになって行く……
これは、公権力に弾圧された、ジャーナリストたちの9年に及ぶ戦いの記録。
監督自身も不当解雇されているだけに、描写はジャーナリスト側に偏り、ドキュメンタリー映画として必要な、第三者的姿勢と公平な視点を欠いてはいますが、それもやむを得ない、と思わせる政府の横暴。
牛肉輸入の安全性について疑問を投げかけた女性記者に逮捕令状を出し、しかも彼女は結婚式直前。放送局を出れば逮捕されるのが判っていながらも結婚式前日に社を出た彼女を、当局は拘束。翌日、花嫁の来ない結婚式場で親族が見るのは手錠を掛けられ、検察庁前で晒しものにされる姿……これを見せられたら大抵の人間は戦意喪失するでしょう。
それでも、マイケル・ムーアばりにアポなし突撃取材を敢行するチェ・スンホの粘り強さと、彼同様に戦い続けた記者たちの姿には感銘を受けます。
それは、映画の大ヒットにより、チェ・スンホはMBCに復職。しかも、社長に就任、と言う後日談にて更に力強いものになります。
これを見て思うのは、如何に隣国と戦争継続中と言う異常事態とは言え、公権力がここまであからさまにメディアに介入する、韓国と言う国の異常さであり、メディア政策の点では韓国が未だ先進国とは見られない、と言うのも仕方ないか、と納得します。
しかし、慄然とするのは、この韓国にして、メディアの表現の自由度は43位。日本は、その下の67位にある、と言うこと。
日本では、公共放送の代表が「政府が右と言えば左とは言えない」と、政府批判は出来ない事を公言する体たらく。
NHKは公共放送であり国営ではありません。国民から受信料を貰って放送している以上、ここは「受信料を頂いている国民の為、政府がどう言おうと真実を伝える」と言う気概を見せて欲しいものですが……政府に批判的な記事を掲載するメディアは非難され、「アカ」と貶められるこの国では、さすがにそれは望みようもないでしょう。
とにかく、ひとつの意見、ひとつの方向にまとめようとする同調圧力の強い社会故、公権力がメディア規制などしなくとも、放送局も新聞社も、みんな政府に忖度してしまうこの国では、真実の報道などは望みようもないのかも知れません。
もう1本は、
「スパイネーション 自白」。
これは、「共犯者たち」と同じ、「ニュース打破」による、国家によるスパイ捏造の真相を追ったドキュメンタリー。
2013年、韓国。脱北者でソウル市の公務員だったユ・ウソンが“北朝鮮のスパイ”として拘束された。
だが、情報機関・国家情報院が提示した証拠は彼の妹の自白証言だけ。
疑念を抱いたチェ・スンホは、「ニュース打破」」取材班とともに動き出すが……
韓国では、現在も国内に「2万人の北朝鮮のスパイがいる」とし、その摘発により、市民の危機感を煽っています。
しかし、その多くが冤罪……と言うか、国家情報院によるデッチ上げ、と言うのを告発します。
それにしても、国家として、スパイのデッチ上げが認められているとは言え、冤罪被害者の告発する国家情報院の無法っぷりが酷い。
ユ・ウソンは結果としては無罪になったものの、彼が苦心して脱北させた妹は、兄に対する虚偽の自白をさせられ、無罪とはなりますが、偽証罪で国外追放されてしまいます。
しかも、ユ・ウソンのスパイ活動の証拠として、中国から北朝鮮に入国した履歴を提示するのですが、これが捏造。
ユ・ウソンの弁護士が中国政府に確認すると、書類は捏造されたもので中国政府から「中国公文書を偽造する不届き者を厳罰に処す事を希望する」と要望されているのにも関わらず韓国政府はそれを無視し、当時者は軽い処分で済ませると言う……怖いものなしなんだな、韓国ってのは……
また、大学生がスパイに仕立て上げられた例でも、いきなり拘束して全裸にして殴打、性器にタバコの火を押しつけるなど拷問の上、同時に拘束した恋人を「目の前でレイプする」と脅して(実際にレイプしてしまう事もある)供述書に押印させる、と……
エンドロールでは、これまでのスパイ事件のうち、冤罪だと判ったものが列記されていますが……スパイは死刑なので、無罪と判っても既に処刑されている例が殆ど、と言う有様。
こちらの方は、チェ・スンホが当事者ではない為に冷静さを保った取材をしており、映画としての完成度は高く、ドキュメンタリーならではの劇的に切り取られた真実にはインパクトがあります。
終盤、多数のスパイ冤罪を生んだ、元国家情報院長にチェ・スンホが、反省と謝罪を求めて執拗に食い下がるのですが、その表情を捉えられない。業を煮やしたカメラマンが顔を隠す傘を撥ね除けて、その表情を捉えるのですが……元国家情報院長は笑っていました。これはさすがに背筋が寒くなりました。
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