mixiユーザー(id:1506494)

2018年12月13日21:06

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ハナレイ・ベイ@ジャック&ベティ

久々の村上春樹原作映画化ということで評判となっておりましたので観に行きました
文庫版の「東京奇譚集」は、確かに買っておりましたし、読んでいる筈ですが印象にない
今回読み返そうにも、整理能力ゼロのワタシですから発掘できずに本日を迎えました

42頁の短編を1時間半の尺に引き伸ばしたのだから、恐らくは原作とはかなり違うであろう
しかし、公式ウェブサイトの解説によるとサーファーである息子を事故で失った母親が
主人公ということらしく、村上作品によくみられる「喪失感」がテーマであろうと
それはワタシの興味を惹くところであります

村上作品の中でも好きな作品「羊を巡る冒険」にそれは顕著でありますし(鼠と呼ばれる
友人が自殺する設定や、耳のモデルをする女性が突然いなくなる設定)、「ノルウェイの
森」もラストシーンでさめざめと泣く場面も印象深い
村上作品以外にも例えば「銀河鉄道の夜」の、あの寂寥感は心をわしづかみにされます

吉田羊という女優は、舞台でキャリアスタートさせたせいで、その存在が広く知られるように
なったときには大人の女性として登場したため、高畑充希や杉咲花のような少女時代を
目にしていません
そういう意味で本作は彼女に嵌っていると思います
クールで感情を顕わにしない、村上作品によく登場する女性で、もしかしたらそのモデルは
ハルキ夫人であるヨーコさんではないかと思うのですが、吉田羊さんもそのイメージが強い

主人公サチに亡くなった息子を呼び戻させる若いサーファーとして村上虹郎と佐藤魁が
キャスティングされていますが、演技が比較にならないほど村上君には存在感があります
彼は鵜山君演出のエレクトラでオレステスを演じていますが、そのときはこんな役者だとは
思いませんでした(最近めきめきという感じです)

印象に残った3つの場面
サチに二人のサーファーがスケボーを教えるシーンで、サチがカメラ目線になるところが
映画というよりはホームヴィデオであるような表情をするところ(自然です)
片足のサーファーが現れるという噂で息子(の亡霊)ではないかと海を見つめるサチの
背後に、一瞬ではあるけれどサーフボードを持った青年が映り込むところ(あっと思わ
せます)
そして幕切れの心満たされたサチの表情は、もしかしたら息子の亡霊に会えたのでは
ないかと感じさせるところ(すぐにエンドロールになって、もしかしたらで終わらせる)

サチはピアノバーを経営しているという設定で、ピアノを弾く場面が出てきますが
Plaisir d'amourとI got rhythmの2曲 吉田羊本人が弾いているように見えます
エンドロールでは別人名が演奏者としてクレジットされていましたが、単なるエアーでは
ないと思います(鍵盤の沈み込みを見る限りでは正しいキーを押さえています)

生活感がないことは村上作品をよく表していると思いました(☆3つ半)

終映後は京急ではなく市営地下鉄阪東橋駅から桜木町に抜け、みなとみらいでのイルミ
ネーションを見物・撮影に行きました
選んだコースが悪かったのか、それほどでもなかったかな
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