mixiユーザー(id:23509930)

2018年09月30日08:06

1062 view

俺の夏休み2018・バースデイきっぷで巡る四国(最終日1/第2次岡山バス戦争前編)

前回からの続きです。

旅もいよいよ終盤。
最終4日目(9月1日)の朝を迎えました。

宿を出発し、高松駅へ。
駅南側、高松駅高速バスターミナルの様子を眺めます。
ちょうど南海バスの和泉200か1360(三菱ふそうエアロエース・LKG-MS96VP)が、6:25発の関西国際空港ゆきとして客扱いをしているところ。
フォト

フォト


市内路線が発着する、駅舎正面のバスターミナルも改めて覗き見。
バス総合案内所の前には、「市内路線バス発車時刻のご案内」と称するモニターが設置されています。左側は「市内中心部ちょいのり」、右側は「市内広域案内」。
このうち「市内中心部ちょいのり」では、高松駅から中心部方面への4ルートについて先発・次発の発車のりば・時刻・系統番号と、まちなかループバス・ことでん(電車)の先発時刻が案内されているほか、モニター下部に4ルートの地図入り路線図が掲示されています。
フォト

フォト

フォト


駅から中心部方面へ複数の路線が重複する区間では、直近に発車するバスがいつ・どこから・どの行先の便なのかがわかりにくいとの声を多く耳にします。こうした情報を一目で表示できる案内モニターは、はじめてこの街を訪れた人や普段バスを使わない人がバスを利用するうえで「わかりづらさ」のハードルを下げてくれるでしょう。

さて、タイトルにあるJR四国の「バースデイきっぷ」は前日に使用終了。
この日は「青春18きっぷ」を1日分使っての移動となります。
高松6:46発、瀬戸大橋線の快速マリンライナー8号で岡山を目指します。
フォト


いつしか列車は瀬戸大橋へ。
四国とはお別れです。
途中、与島では瀬戸中央道のPAを望みます。
フォト

フォト

フォト

フォト


岡山に到着(7:46着)。ここでちょっと寄り道します。
街を訪れるのは2年ぶり。
フォト


駅の改札を出ると、目の前に「えきバス時刻表」のモニターが現れます。
中心部の主な目的地別に、直近数本の発車時刻(定刻)・のりば・運行状況・行先(系統番号)・経由地・運行事業者の情報が表示されます。
高松駅の案内モニターとコンセプトはほぼ同じです。
フォト

フォト

フォト


一方、新幹線改札前付近には周辺案内・路面電車路線案内とともにバスのりば・路線案内が表示板に掲載されています。目的地別乗場早見表と路線配置図も。
フォト

フォト

フォト


どの交通手段で駅から目的地まで移動しようかというときに、駅の改札を出てすぐ目の前に簡潔なバス情報の案内表示が設置されているのは大変有り難いです。バスを利用してくれるチャンスが上がるのではないでしょうか。そしてバスのりばでもっと具体的な情報を案内することで、スムーズにバス利用へと促すことができるのではないかと思います。

岡山駅バスターミナルへ。
いつものように、各社の路線バスが入れ替わり立ち代わりに現れます。
フォト

フォト


今回、岡山市内のバス路線をいくつか乗車します。
やはりなんといっても、両備ホールディングス(両備バス)と八晃運輸の競合路線乗り比べは押さえておきたいところです。両備グループ2社(両備バス・岡山電気軌道)と中鉄バスが相手エリアへの参入合戦を繰り広げた2000年代中期を彷彿とさせる熾烈な争いは、「第2次岡山バス戦争」と呼んでもよいほどです。

地域公共交通の問題に関心をもつ人々の間から、全国的な注目を集めた両社の競合。
きっかけとなったのは、2017年3月に八晃運輸が新路線を運輸当局に申請したこと。
その新路線「めぐりん益野線」は、ルートのほとんどが両備バスのドル箱路線である岡山西大寺線と重複し、かつ同線よりも大幅に安価な運賃を設定していたため、両備側は「道路運送法で禁じられているクリームスキミング(いいとこ取り)である」と猛反発。そして「減収すれば赤字路線を維持できない」として今年3月、両備グループの2社が運行する赤字31路線の廃止届を当局に提出したのです。このアクションは2002年に実施された乗合バスの規制緩和そのものへの問題提起と受け取られ、賛否さまざまな議論が巻き起こりました。

新路線は、廃止届が提出された当日の夜に認可。
4月27日に運行が開始されました。
(これをめぐってはネット上でさまざまな憶測が流れていたようで)
廃止届は、岡山市が新たに地域協議会を設置し、国交省がこれに積極参画する意向であることなどを両備側が評価することで取り下げとなりましたが、この間・以降と両備・八晃双方が声明を発表し合い、さらに両備側による新路線の認可取り消しを求める訴訟提起、両備側の労働組合による「集改札スト」など激しいつばぜり合いが続きました。

それから4ヶ月が経過し、利用者の動きも落ち着きつつあるところで現状はどうか、と思い立って乗り比べに赴いた次第です。

まず、岡山駅からの往路では両備バスの岡山西大寺線を選びます。
現在は以下のような運行本数です(手計算につき間違いがあるかもしれません)。
【平日】
西大寺本線(天満屋経由) 往路97本(うち深夜バス1本)・復路101本
新京橋線(千日前経由) 往路19本・復路22本
益野西線 15本(往復循環運行、基本は益野西発着も一部は西大寺発着)
モーニングライナー 復路のみ1本

【土日祝】
西大寺本線 往路86本(うち深夜バス1本)・復路86本(日祝-1本)
新京橋線 往路2本・復路3本
益野西線 12本(往復循環運行)
*特記のない系統は、いずれも岡山駅〜西大寺バスセンターの運行

3系統の違いは、岡山市中心部での経路が異なること。
基本系統の西大寺本線は、天満屋バスセンターや県庁前を通過し旭川にかかる相生橋を渡ります。これに対し新京橋線は、イオンモール岡山前・源吉兆庵本社前や市役所入口を通過し新京橋で旭川を渡ります。益野西線は西大寺・益野西方面から天満屋バスセンターまで西大寺本線と同じコースをとるものの、以降は天満屋→イオンモール岡山前→岡山駅前(ドレミの街。岡山駅バスターミナルに入らず)→天満屋とラケット状に循環し、益野西・西大寺方面に戻ります。
また、モーニングライナーの前身は、パーク&バスライド利用者専用の速達便「西大寺シビルライナー」。当時は貸切格下げ車を使用していましたが、現在は通常の路線バス車両が使用されているようです。停車バス停も当時より増やしているとのこと。

日中のダイヤは、西大寺本線の10分ヘッドが基本。
この10分ヘッドの合間に新京橋線の便が挿入され、その場合はあわせて5分おきとなります。また益野西線の便が挿入された場合、あわせて2〜8分おきとなり不整合な運行間隔となります。
このほか、西大寺本線では平休日を問わず運賃510円均一の深夜バスが設定されており、岡山駅23:35発となっています。

さて、岡山駅8:50発の西大寺本線・西大寺バスセンターゆきに乗車します。
車両は9810(岡山22か4095/三菱エアロスター・KC-MP717K)でした。
フォト

フォト


*西大寺本線のルート


なお乗車にあたっては、「土日祝日限定往復割引きっぷ」を使用しました。
岡山西大寺線・益野西線に限り利用できる往復セットの乗車券で、販売価格は400円。
7〜9月の土日祝と、お盆期間(8月13〜15日)が利用可能日となっており、利用可能日には車内でも購入できます。
岡山駅からの片道運賃が200円を超える東山電停前以遠までの往復利用が安くなり、特に片道400円となる益野西以遠では片道運賃に相当する金額で往復利用できます。
いうまでもなく、ライバルの八晃運輸への対抗策の一環です。
https://ryobi.gr.jp/news/4931/
フォト


土曜日の朝、それも中心部→郊外方面の乗車ということもあり、往路の利用状況は多くありません。それでも、東山峠を越えた先の東区の新興市街地に入ってからの乗車が散発的にみられ、地域の生活の足として長年定着している姿を垣間見ることができました。途中すれ違う便の様子を観察すると、八晃の便よりも両備の便のほうが乗客数は多いように見えます。それでも両備便の乗客数は多くて15〜16人くらい。やはり供給過剰となっているのでしょうか。

岡山駅 +4
岡山駅前 +2(車内の乗客数6人)
NTT岡山前 0
天満屋 0
中銀前 0
県庁前 -1(ここまで100円区間)
古京 -1
門田屋敷 0
山陽女子中学・高校前 0
東山電停前 +1
東山 0
東山一丁目 0
護国神社前 0
東山峠 0
池の内 0
池の内東 +1
岳 0
自動車学校入口 +2(車内の乗客数8人)
曹源寺 -1
福泊 -2
OG技研 0
海吉 0
益野西 0
益野中 0
益野 -1 +1
松崎 +2
西大寺中央病院前 0
川井 -2 +1(車内の乗客数6人)

フォト


終点の3つ手前、川井でバスを降ります。
岡山駅からの運賃は400円、往路だけで「割引きっぷ」を償却します。
なお到着時刻は、所定9:29通過の8分遅れ。
特に目立った渋滞や乗客対応はなく、多少右折待ちでつかえた程度です。
同線の現行ダイヤでは、GPSによるバスロケ―ションシステムで得た運行実績を基に、人工知能(AI)を活用したバスダイヤ作成支援システム「Dia Brain」が用いられているはずなのですが…。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28977110U8A400C1000000/
フォト


脱線しますが、岡山駅〜県庁前の間では100円運賃となっています。
きっかけは、2015年2月下旬に八晃運輸が新路線「県庁めぐりん(現在は他路線に発展的解消の形で廃止)」の運行を開始したこと。これに先立ち、ルートが重複する宇野自動車は同月初めに岡山駅〜県庁前の運賃を100円に値下げ。さらに両備グループ2社も3月に同区間を100円に値下げしました。
めぐりん益野線の運行開始以前から、各事業者による激しい攻防が続いていたのです。

なぜ川井バス停で降りたかというと、両備・八晃のバス停が共存しているから。
東隣のバス停も両社共存となっていますが、両備のバス停名は新橋、八晃は新橋北(中心部からの終点)と新橋南(中心部への起点)になり、名称が異なります。
ともかく、中心部方面(復路)の利用者がどちらの便を選ぶのか、観察してみます。

中心部方面では、両社のバス停ポールが2本並んでいます。
フォト


両備バスのポール。
時刻表を眺めると、西大寺本線での綺麗な10分ヘッドダイヤが目を惹きます。
「割引きっぷ」がしっかりPRされています。
また系統図には各バス停までの運賃が記載されており、ICカード「Hareca」での精算に限って適用される岡電軌道線(東山線)との乗継直通運賃も明記されています。
フォト

フォト

フォト

フォト


一方、こちらは八晃運輸のポール。
運賃250円均一であることが強調されています。
両備のポールにはない、バスの乗り方(乗降・運賃精算)が案内されているほか、八晃が運行するバス路線「岡山市内循環バス めぐりん」の全路線図も掲示されています。
そして両備の「割引きっぷ」に対抗し、9月10日から発売の「フリーパス」がPR。
1ヶ月8,000円で、めぐりん全路線が乗り放題となる持参人式の定期券です。
両備の時刻表と見比べると、確かに両者のダイヤが近接しているものも多いのですが、明らかに相手の発車時刻よりも数分早く設定しているようには感じませんでした。
https://megurin-okayama.com/pdf/freepass.pdf
フォト

フォト

フォト

フォト


さて、岡山駅前への復路はめぐりん益野線を選ぶことにします。
新橋南起点・新橋北終点の循環路線で、相生橋を渡るまでは(バス停では古京まで)両備の西大寺本線と同一ルートをたどり、その先は県庁南→イオンモール岡山前→岡山駅前→柳川→県庁前の順に市内中心部をラケット状に循環し、再び相生橋を渡って戻ります。
岡山駅バスターミナルと天満屋バスセンターには乗り入れないのが特徴。
平日59本・土休日48本が設定され、日中は概ね10〜20分間隔でパターン化されていません。また終発が早く、岡山駅前で平日19:57発・土休日19:27発となっているのも特徴です(9月3日改正後のもの)。

*益野線、新橋南→岡山駅前のコース


なお、今回の乗車翌々日にあたる9月3日、益野線ではダイヤ改正が実施されました。
平日の朝夕に増便が実施され、またこれと前後してか元・東急バスの中型車2台(日産ディーゼルKK-RM252GAN)も稼働を開始しているようです。これまで、めぐりんでは小型の日野ポンチョが充当されていたのですが、中型車投入で収容力アップ→着席チャンス拡大を狙うのでしょうか。
フォト


川井9:46発の岡山駅前方面便を狙うのですが、その3分前に両備バスの西大寺本線・岡山駅ゆきが通過します。バス停には当方以外に2人が待っていたのですが、その2人ともやって来た両備の1101(岡山200か1082/三菱ふそうエアロスター・LKG-MP35FM)に吸い込まれていきました。「とりあえず先に来たバスで」という考えなのか?それとも両備の定期券所持者なのか?
フォト

フォト


右折待ちの渋滞に巻き込まれ、乗車便は定刻から3分ほど遅れて姿を現しました。
車両は910(岡山200か1216/日野ポンチョ・SKG-HX9JLBE)。
フォト


利用状況はこんな感じです。
川井 +1(車内の乗客数1人)
松崎 +1(バス待ち2人)
益野 +1
益野中 0
益野西 0
海吉 0(両備では次のOG技研でバス待ち2人)
福泊 0
曹源寺 0(バス待ち1人)
自動車学校入口 0(バス待ち1人)
嶽 +2(両備バス停に1人)
池の内東 +3(車内の乗客数8人、最大値)
護国神社前 0
東山交番前 0
東山 0
山陽女子中学・高校前 0
門田屋敷 0
古京 0
県庁南 0
中電前 0
田町二丁目 0
柳町一丁目 0
イオンモール岡山前 -6
岡山駅前 -2(車内の乗客数0人)

市内中心部へ買い物や遊びに行く人が多い時間帯なのですが、乗客数はそれほど多くありません。興味深いのは、各バス停で待っていた人の中に、当便に乗車しなかった人が少なからず見られたこと。両備の「割引きっぷ」攻勢が相当浸透しているのか?それとも当便が立ち寄らない岡山駅構内や天満屋に向かう人なのか?

また、益野線では新橋南/新橋北〜東山交番前の間が運賃250円エリア、東山以西の中心部が100円エリアとなっており、前者で短区間利用すると両備バスの初乗り運賃140円よりも高額となる場合があるのも特徴的です。都心周辺部の短区間需要は捨て、都心対周辺部と都心内の各需要にターゲットを絞った運賃設定といえます。

さらに面白いのは、障がいのある人が利用した場合。
今回利用した岡山駅前〜川井の場合、両備バスでは通常運賃400円。
身体・知的・精神の各障がい者は、障害者手帳の提示により運賃が50%割引となることから、この区間を200円で利用することができます。
一方、八晃運輸のめぐりんでは障がい者割引がありません。
第1号路線の運行開始当初は身体・知的障がい者と児童福祉法の適用を受ける利用者は無料で乗車することができたのですが、ほどなく廃止されてしまったのです。
このため、上記区間では通常運賃の250円となり、両備バスのほうが50円安くなるという「逆転現象」が発生します。「逆転現象」となる区間を利用する障がいのある人の大半は、おそらく両備バスを選んでいるのではないでしょうか。

なお、岡山駅前には定刻10:24通過より4分遅れての到着です。
フォト


両者乗り比べると、運転操作の面では遜色なく、接遇の面では両備の運転士さんがマイクを多用しているように感じます。「割引きっぷ」の効果によるところなのか、実見する限りにおいては両備側やや優勢という印象をもちました。ただ、競合区間とあってサービス内容は共通化されておらず、また一社のみの停車というバス停が見られるなど、競合で利用者にとって便利になったとは必ずしも言い難い部分があります。また、競合が長期間続けられる中で両社がどこまで疲弊するのかも心配なところです。現在続けられている岡山市公共交通網形成協議会での協議、そして今後策定が目指される岡山市地域公共交通網形成計画、さらには訴訟をはじめ主に両備側が仕掛けるさまざまなアクションなどにより、両社の競合がどのような着地点で折り合いをつけるのか。これからも要注目案件といえるでしょう。

この続きは、また次回。

2018.10.1追記
八晃運輸のめぐりん益野線について、本文記載の運行本数が乗車日当日のものとご案内しましたが、正しくは乗車翌々日の9月3日改正後のものです。ここに深くお詫びのうえ訂正致します。
8 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する