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2018年05月09日21:20

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2018年 5月 3日(木) バイエルン州立劇場 「メフィストフェレ」

演出 ローランド・シュヴァップ、舞台美術 ピエロ・ヴィンチグエッラ、衣装 ルネ・リスターダール、照明 ミヒャエル・バウアー、ビデオ レア・ホイテルベック、振付 シュテファノ・ジャンネッティ、指揮 オマール・マイヤー・ヴェルバー。配役 メフィストフェレス エルヴィン・シュロット、ファウスト ジョセフ・カレヤ、マルゲリータ カルメン・ジャンナッタージョ、マルタ ヤーナ・クルコーヴァ、ヴァーグナー アンドレア・ボルギィーニ、エレーナ チェリア・コステア、パンタリス ラヒャエル・ウィルソン、ネレオ ヨシュア・オーゥエン・ミルス。
この作品はイタリア人のアッリーゴ・ボーイトArrigo Boito(1842−1918)の唯一のオペラ(2作目のオペラ「ネローネ」は完成せず、彼の死後補作されて1924年にスカラ座でトスカニーニ指揮のもと上演された)である。彼は当初ヴァーグナーに心酔し、ヴェルディを酷評したが、後年ヴェルディの台本作者として「シモン・ボッカネグラ」、「オテッロ」、「ファルスタッフ」の完成に多大な貢献をしたとのことだ。
19:00開演。この日の席は2.Rang Mitte1列目12番。€117.00。珍しくかなり上のほうの席だが、高い。
プロローグ。トンネルの工事現場のような舞台で、金属製の大きなアーチが舞台いっぱいにある。何人かのキャバレーの女給のようなコスチュームを着た女性が大胆な格好で椅子の横になっている。後方にはがれきが、前方には「OPEN」という文字が赤く光っている。その後ろには昔の蓄音機。メフィストフェレスはレコードをかける。ここでのあらすじは、天使たちが神を賛美していると、メフィストフェレスはそれに反発する。合唱がファウストを知っているかと聞くので、メフィストはその変人を知っていますとも、誘惑してみましょうと答える。そして合唱は「やってみよ」と答えるのだが、舞台上は全くこれに関係ない演技が続くようだ。すなわち舞台中央の床に倒されたスクリーンが綱で引っ張られて立てられるとそこには都市や旅客機などの映像が映し出される。やがてライトをつけたビデオカメラを持ったカメラマンがメフィストを追い、スクリーンに映写される。
第1幕第1場。フランクフルト・アム・マインの町。後方からブランコが下がったようなカルーセルに人が乗って舞台中央あたりまで進み出る。ファウストがヴァーグナーと登場する。ファウストは灰色の修道士に気を取られる。ファイスとはその修道士に見張られているのではないかと不安に駆られるが、ヴァーグナーは取り越し苦労だ、心配ないという。
第2場。ファウストの書斎。左手に椅子。中央少し奥にマルゲリータ。メフィストがやってくるとファウストはすぐ契約を結ぶ。
第2幕第1場。マルタの家の庭。中央奥まったところにローソクが3本立ったテーブル。その両側に椅子。前方右手にオートバイ。マルゲリータの母のマルタがその上に座っている。いやに若い。ファウストはテーブルでマルゲリータにキスをしようとし、メフィストはマルタをマルゲリータから遠ざけるため彼女を口説いている。マルタを薬で眠らせる。真ん中のアーチ部分が上昇するとテーブルがバタンと前方に倒れ、ろうそくの火が床にも広がる。やがて群衆がその場を離れると、マルゲリータが横たわっており、そのスカートは地で赤く染まっていた。
第2場。ブロッケン山の恐ろしい峰に挟まれているシールケの谷。舞台前方に妊婦たち。中央に缶とメフィスフェレス。
第3幕。マルゲリータの死。舞台上のアーチが壊れており、花輪が置かれている。マルゲリータ自分とファウストとの子を殺し、また母親を毒殺した嫌疑で獄につながれ処刑を待っている。民衆は死刑を要求し、ファウストはメフィスフェレスの手助けで彼女に会い逃亡させようとする。しかし罪悪感にさいなまれている彼女はここを動かない。やがて夜が明け彼女は救われたとの声が響き。二人は逃げ去る。
第4幕。ペネイオス川の花が咲き乱れる草原。トロイのヘレンのもとにメフィストへレスとファウストがやってくる。やがてファウストとヘレナは愛の秘跡を称賛し始めるので、メフィストへレスはこの成り行きに戸惑いを感じは始める。
エピローグ。ファウストの死が近づいてきた。メフィストへレスはファウストが自分を避け始めているのを感じている。彼を新しい旅に駆り出そうとするがファウストは耳を貸さない。そしてファウストは静かに息を引き取り、彼の魂は神に迎えられるのだった。神の勝利である。
といった筋のはずであるが、ほとんどついていけなかった。やはりオペラはストーリーが分かるような演出でないと説得力がない。歌詞もまた同じである。そういう意味でバイエルン州立劇場のここ何年かの動きは聴衆を無視した独りよがりのプロダクションが大部分だといえる。
先日の「シチリア島の夕べの祈り」で感心したエルヴィン・シュロットはすごかった。そしてファウストのジョセフ・カレヤも、マルゲリータのカルメン・ジャンナッタージョは歌のみでなくその容姿もよく、舞台はほとんど理解できなかったがこの3人のおかげで結構音楽は楽しめた。ボーイトはワーグナーに心酔していたといわれるがその音楽からは彼の影響は感じられなかった。
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