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2018年05月05日17:28

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2018年 3月29日(木) ティロラー・フェストシュピーレ・エルル 「パルジファル」

いよいよ今日から3日間エルルで「オスターン・イン・エルルOstern in Erl」という、ティロラー・フェストシュピーレ・エルル初のイースター音楽祭が開催される。
ホテルにあまり早く着くと入れてくれない恐れがあるのでミュンヒェン中央駅11:43発のメリディアンM79067でオーバーアウドルフに向かう。メリディアンの列車はまず遅れることはない。定刻の12:49に到着すると霧雨が降っていた。その霧雨の中を駅から10分ほどのベルンハルズ・ホテル・ウント・レストランへ行く。扉が閉まっていてベルを押しても誰も出てこない。向かいのレストランに行き、裏手に回ると人影が見えた。そこで声をかけて鍵を開けてもらう。中にはいつも不機嫌な顔をしているおばさんがいたのだ。だったら呼び鈴に答えろ!鍵を渡されるといつもの屋根裏部屋でない。これで頭をぶつけないかと喜んだが、場所は同じ階の反対側の部屋だが同じ作りの部屋だった。ここは清潔で朝食もかなり良い。3日間泊まるのだが、ホテル代は朝食付きで1泊€58.00だ。もう3年も来ているのにアップグレードはないのか!今日の「パルジファル」は5時開演なのでシャトルは16:10にラータウス前から出る。今年も往復€10.00で往きの運転手に現金で払う。
この「パルジファル」は総プロダクションが「アンジェロ・ディ・モンテグラル」とある。何の事じゃ?舞台美術はペーター・ハンス・フェルツマン、衣装はカリン・ヴァルテンベルガー、そして指揮は勿論グスタフ・クーン。配役はアムフォルタス トーマス・ガゼリ、ティトゥレル ドナルド・トンプソン、グルネマンツ パーヴェル・クディノフ、パルジファル フェルディナンド・フォン・ボトマー、クリングゾル ミヒャエル・クプファー=ラデツキー、クンドリー ニコラ・ベラー・カルボーネ、第1の聖杯の騎士 ラツロ・マレツキー、第2の聖杯の騎士 フレデリック・バルドゥス、少年たち フイ・ジン、マルタ・ロッティ、アンナ・ルチア・ナルディ、ジョルジョ・ヴァレンタ、第1グループの花の乙女たち パオラ・レッジェーリ、マリア・ラドエヴァ、アレーナ・ザウティアー、第2グループの花の乙女たち ラダ・キッシー、渡辺美智子、スヴェトラーナ・コティナ、白鳥 カタリーナ・グラース、森番 エルラー・キンダー。ティロラー・フェストシュピーレ・エルル・コーラルアカデミーおよびオーケストラ。
渡辺さんはここの音楽祭になくてはならない人の一人のようだ。この音楽祭では予定される出演者は常に複数提示される。そして本公演ではその中から一人が歌うわけだが、今回のプログラムのバイオのページにはしっかりと渡辺さんの項があり、半ページ以上が彼女のために割かれている。大したものだ。
今までこのフェスティヴァルではワーグナー作品はすべてパッションフェストシュピールハウスでの上演だった。今回初めてフェストシュピールハウスでの上演である。この「パルジファル」も前回まではパッションフェストシュピールハウスで行われていたとのことで、オーケストラは舞台の後ろに陣取っていたはずだ。客席に入ると、オーケストラ・ボックスに覆いがかぶせられている。ここはワーグナー作品の上演のために作られたことがよくわかる。今日の席は一番安いカテゴリーIIIのギャレリー・レヒツ25列目6番€70.00だ。エルルのホールはどちらも2階席とかボックス席が無い。この席は最後列の右わきだ。もう1回観るときは前方の左側にした。
第1幕。客席が暗くなると拍手がなく演奏が始まる。かなり簡単な舞台で正面に長めのテーブル。幕が開くとグルネマンツが子供たちを起こし神に感謝させる。そして騎士にアムフォルタス王の様態を聞くが、芳しくない。そこにクンドリーが大変疲れた様子でやってきてバルサムを彼に差し出す。それをアムフォルタスに渡すと、彼はクンドリーに礼を言う。トーマス・ガゼリは素晴らしい声だ。やがてパルジファルが白鳥を殺害したかどで連れてこられる。グルネマンツはこの若者が神託で言われているものではないかと感じ聖杯の儀式に参加させるが、「やはりお前はただの馬鹿だな」と言ってパルジファルを追い出す。
第2幕。舞台中央に住宅建設用の金属製はしご。舞台両袖には四角い台。その上に三角形が左に2つ右に1つ立っている。黄色に細い黒の縦縞の入った上下を着たクリングゾルははしごの中ほどに座っており、クンドリーがはしごの前に横たわっている。
ピンクの花のようなハートのようなものが天井からつるされる。花の乙女たちの刺繍のされている衣装がきれい。クンドリーが赤の衣装になると若い花の乙女たちの中でもよく映える。彼女ははしごに布をかけ、その上でパルジファルにキスをしようとする。と、彼は「アムフォルタス」と大声で叫ぶ。クリングゾルが槍を投げる。そのやりは白鳥によりジークフリートに手渡される。
第3幕。第1幕と同じような舞台。中央少し奥に大きなテーブル。その右に井戸。そのさらに右には2本の角柱が立っており門のようである。その一つには鹿の角の装飾。その手前にはベンチが置いてあり、老いたグルネマンツが座っていると、うめき声が聞こえる。彼はテーブルのあたりにクンドリーを見つけ介抱する。やがて白鳥(バレリーナ)が兜をかぶり、盾をもってやってきてベンチの左側に立てる。パルジファルは後に続く。クンドリーは井戸から水を汲みパルジファルにぱりじふぁるの足を洗う。聖槍はテーブルの上に置かれ、その槍がアムフォルタスを癒す。パルジファルは彼に変わり王となる。(幕)
大変荘厳な「パルジファル」であった。やはりグスタフ・クーンはすごい。ただし白鳥やはしごなど彼の演出には改善の余地があろう。ニコラ・ベラー・カルボーネのクンドリー、パーヴェル・クディノフのグルネマンツ、そしてトーマス・ガゼリのアムフォルタスが特によかった。いつものことだがグスタフ・クーンははにかみ、出演者たちを十分にねぎらう。22時終演。
帰りの車は大型のバスが来、エルルの村を回り、オーバーアウドルフ駅経由でラータウスに到着。いつも行く「アルペンローゼ」に行くと表にキュッヘは21:30で閉まると書いてあったので残念ながらホテルに戻る。ここのバーで温かいものを食べビールを飲む。
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