昨日の朝のことだ。
いつものように慌ただしく家を出たのだが、玄関から駐車場に向かう折、ふと何かに気が付いて足を止めた。
畑の真ん中に普段は存在しないものがある…。
遅れ気味だったので気は急いたが、じっと目を凝らしてみると。
「雉だ…」
かつて我が家の畑やら林の中に、野生の雉が住んでいたとは聞いている。
が、私は移り住んでから眼にしたことがなかった。
周辺の開発が進み、宅地が拡大しているのだから、もういないのだろうと考えていた。
まったく無防備の状態で遭遇した私の驚きをよそに、青銅のように美しい首筋を真っ直ぐ立てた雉は、微動だにせず、凛とした気風を漂わせてそこに佇んでいた。
「美しい…」
心底そう思った。
画像に収めたいと思ったが、部屋にカメラを取りに戻って撮影している余裕は無い。
やむなくその姿を脳裏にだけ焼き付け、私は車へと向かった。
何かの瑞兆かなあなどとぼんやり思いつつ日を過ごしたが、特段普段と変わったラッキーなどは起こらない。
日付が変わって今日。
昨夜の呑み過ぎ騒ぎ過ぎが祟って体調が今一つのところ。
羽生選手と宇野選手の演技に涙が出そうに感動した。
最後の晴明の両手を広げた決めポーズ。
羽生選手のあの姿が、気高い雉の雄姿とダブってきた。
世界一のスケーターを鳥に重ねるなど失礼かもしれないが、私にとっては今日の嬉しい金メダルの予兆だった気がする。
おかげで一気に体調も回復し、最近思い悩んでいたこともあっけなく氷解した気分になった。
やはりあの雉は、瑞兆だったのだ。
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