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2018年02月01日07:55

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ジュゼッペ・ディ・ステファノのこと・3月のレッスンのお知らせ

イタリアの巨星、テノールのジュゼッペ・ディ・ステファノが亡くなって10年になります。
ケニアの自宅で強盗に襲われ、昏睡状態でミラノの病院に運ばれましたが、3年数カ月 意識が戻らないまま息をひきとりました。 86歳
その少し前に亡くなったパヴァロッティの時の 国を挙げての大きな報道に比べて、不当な小さな扱いでした。
歌手としての価値は、ディ・ステファノの方がはるかに上だと思われますが・・・
( ステファーノ じゃなくて、アクセントは テ の上 )
太陽のような輝かしい声と、生まれつき完璧な発声のテクニックを持った、たぐいまれな天然テノールでした。
ほとんど発声の勉強などせず、いきなり世界トップのオペラ歌手として、大劇場で活躍が始まります。
(マルティヌッチやカレーラスでさえ、デビュー前に何か月かは歌の勉強しています)
26歳でスカラ座デビュー、27歳でメトロポリタン歌劇場・・・
テクニックがない、歌い方がメチャメチャ、と悪く言う人もいますが、期末試験の前みんなが必死で勉強している間、毎日遊び歩いて全く勉強せず・・・で、試験は学年トップとっちゃう・・・みたいな子って ”なんだ、アイツ!!!“ って言われますよね。

砂利の中からいきなり300カラットのダイヤモンドが出てきた感じ。
磨いたりカットしたり、加工しなくても、宝石として完璧な…普通はあり得ない、奇跡のテノールです。

若い頃ホテルでよく同室だった指揮者が、“ 朝、目を覚ましてアクビするついでにハイツェー(高いド)出すので、うるさくて寝てられなかった。気が狂ってる ” って笑っていました。
どんなノドなんでしょう・・・

勤勉、真面目、努力の人、が好きな日本人には、カジノの常連で放蕩を極めた(と噂される)このテノールを受け入れない人が多いようですし、全盛期に日本に歌いに行ってないことも あまり人気のない原因かもしれません。

1950年代〜60年代、一緒に舞台に立った歌手たちやオペラファンの多くが、最高の歌手としてディ・ステファノをあげます。(デルモナコ・コレッリ・マリアカラス・テバルディ…などの時代です)
観衆を虜にしてしまう圧倒的な魅力があって、彼が舞台に登場すると観客の注目を一身に集めてしまい、あのマリア・カラスがいつも悔しがっていたそうです。

全く勉強しなかったと非難されますが、実際には、いつも声のことを考え、色々試して、彼の声に合った自然な発声を常に模索していたようです。
他人の助言を嫌がった・・・ ベルカント発声が廃れて、まわりが、筋肉を使った機械的な発声に替わっていく中で、自然なベルカント発声を守りたかったのでしょう。

「私の注意は、いつも正しい自然な発声に向けられています。それは、もちろん 横隔膜やマスケラを考えることではありません。そんなことを考えたら、マリオネットになってしまいます。」

「自分の持っている声を より大きくする発声なんてありません」

「歌手は、それぞれが自分の声について、その重さや、自然で簡単に歌える方法を知る必要があります」

無理のない、自然な発声であったからこそ、あの豊かな表現力、聞く人の心を魅了する歌が歌えたということですね。
甘く、柔らかく、そして輝かしい声と見事なレガート・・・
特に フレーズのアタックの柔らかさを聞いてみてください。

( 時々、バランスを崩して、言葉をしゃべり過ぎるほうに傾いている時期もあります。
そういう時は、アクート(高音)が 丸い響きでなく、ペッチャンコ・・・)

偉大なテノールに合掌!


レッスンのお知らせ (受講生募集中)
3月10日(土)13:00〜 名古屋 ルーチェスタジオB

3月12日(月)13:00〜  ミューザ川崎 練習室2

3月18日(日)12:00〜  大田区立アプリコ(蒲田)Aスタジオ

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