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2017年12月27日22:38

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イッツフォーリーズ公演 ミュージカル「青空の休暇」@シアター1010

今年の鵜山君演出の舞台、11本目はワタシにとって最後のシアターゴーイングと
なりました(多分、年内もう劇場には出かけないだろう)
故いずみたく氏の立ち上げたミュージカル劇団の公演で、鵜山君は過去にも浅田
次郎原作の「天切り松闇語り」、落語を基にした「死神」(いずれも左とんぺいさん
主演)を演出しておられますので、ワタシの知る限りでは3本目ということになります

台本は中島淳彦さんで、これまたワタシの知る限りでは、文学座公演に「ゆれる車
の音」、「くにこ」、「何かいけなかったでしょうか?という私たちのハナシ」があります
ので、4本目です(実際には順番としては2本目)

初演は、というわけで2011年で、ワタシは見落としておりまして、本日が初観です
いずみたくさんは既にお亡くなりになっていますから、その衣鉢を継ぐ方たちによる
オリジナルミュージカルです(原作は辻仁成氏)

舞台は1991年の夏、50年前に真珠湾攻撃に参戦した3人の元航空兵が、75歳にして
再びハワイに旅するという設定
当然のことながら「あの」戦争を題材としているわけで、鵜山君演出という事もあり
ワタシとしては身構えてしまいます(今年の鵜山演出作品のほぼ半数が第2次大戦
がらみのもの)

しかしことさら反戦を前面に押し出したものではなく、かといって(もちろん)戦争賛美
でもありません、実にノー天気といえるほど、青春プレイバック的に真珠湾を再訪
しようという熟年トリオで、いくらなんでも無神経すぎるのではないの、とワタシが心配
するくらいのものでした

しかし、全体を拝見すると、むしろ無神経であることが重要なのかな、と
主人公たちをヴォランティアでガイドする退役軍人は、あの真珠湾攻撃の時に
足に傷を負っている、その他の登場人物たちも日系2世や3世達で、苦労を重ねて
きている、それらすべて主人公トリオの放った一撃に起因する戦争の爪痕なのです

ひょんなことから、あの真珠湾急襲に使われた戦闘機が残されていることを知る

主人公たちはもとより、戦争に少なからず苦しめられたであろう人たちも、彼らに
協力して、再びその飛行機を青空に、今度は平和の象徴として飛ばせたいという
夢づくりに勤しむ、という内容です

ね、無神経でしょう
でもそれでいいのです、だから(主人公トリオの一人は末期がんで志半ばにして
この世を去ります)夢が実現する場面では、観ているこちらも感動します
(この3人は、戦争後もそれぞれに苦悩を背負っているのです)

目を三角にした反戦でもない、愛国心を高らかに歌い上げる国威発揚でもない
戦争責任を追及するでもない、ひたすら懺悔する上目遣いの反日思想でもない、
極めて「健全な」人間賛歌がありました

この無邪気さがあれば、戦争なんかは起こらなかった(かもしれない)のにね
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