みなとみらい小ホールで開催されるクラシックマチネに、7月の永野さんのピアノリサイタル
に続いて本日は横坂源さんのチェロと田村響さんのピアノのDuoに行って参りました
今回も二部構成の双方のプログラミングが魅力的だったので、第一部と第二部の間にある
１時間半の食事休憩をどうしようか悩んだのですが、思い切って両方通して拝聴させてい
ただきました（永野さんのときは第二部だけでした）
【第1部】
フォーレ：シシリエンヌ Op.78
ドビュッシー：2つのアラベスク
R.シュトラウス：チェロ・ソナタ ヘ長調 Op.6
R.シュトラウス：4つの歌 Op.27より 第4曲「あすの朝！」
【第2部】
黛敏郎：文楽
ヴェーベルン：チェロとピアノのための3つの小品 Op.11
シューマン：アダージョとアレグロ 変イ長調 Op.70
ベートーヴェン：チェロ・ソナタ第4番 ハ長調 Op.102 No.1
最初のシシリエンヌで出てきた音の大きさにびっくり、それほど渾身の力で弾いている
ようには見えなかったのですが、そういう技量なのか、良く鳴る楽器なのか、はたまた
ホールのアコースティックのせいか、ワタシの席はかなり後ろの方で、ステージから２０ｍ
くらい離れているにもかかわらず、視覚的な距離感と音の距離感が違う
多分音響効果がいいのでしょう（過去に聴いた「気軽にオペラ」公演も豊かな音量だった）
ドビュッシーのアラベスクはワタシも中学の時に弾いた曲で（ワグネル99回定演の公演
プログラムに「出会い」と題してちょこっと触れました）、中学生でも弾ける曲ですから
リサイタルの曲目に採り上げられるのは珍しい、とても懐かしい気がしました
続くシュトラウスのソナタは、そもそも今回の演奏会をチョイスした動機でもあり、作曲者
17歳から19歳にかけての若書きではありますが、それだけに青春の息吹が感じられる
本日のお二人（それぞれ30歳と31歳）はそれに相応しい演奏でした
同じシュトラウスのMorgen！は、いわばアンコールピースで、編曲者名はクレジットされて
おりませんでしたが、ヴァイオリン序奏部分をチェロが、歌の部分をピアノが受け持って
伴奏が逆転していました
第一部の後は結局ホールからはちょっと距離のある（グーグルマップによれば徒歩8分の)
「味奈登庵」に行きまして（1時過ぎでもリーマンが列を作っていたけれど、時間潰しだから
構わない）、肉南蛮蕎麦450円＋オクラの天麩羅50円をいただきました
第二部は曲目が渋めなせいか、心なしか聴衆の数が減りました
メインはベートーヴェンの4番のソナタで、3番は有名だけれど、ワタシもあまり馴染みでは
ありません（実家にフルニエ/ケンプのLP全集があった）
ほとんど初めてのような気分で聴きましたが、やはりベートーヴェンは只者でない
シュトラウスの若書きなど吹っ飛んでしまいました（時代的にはベートーヴェンが先なの
だけれど、革新性が違います）
最後にプログラムには書かれていなかったアンコールは、掲示発表を待つまでもなく
サン=サーンスの白鳥でした
シュトラウス協会の例会で堤理事長によるソロ・リサイタルを聞いて以来、久しぶりの
チェロ音楽を満喫・堪能しました
終演は15時20分でしたので、一旦家に戻って、それから夜の部は信時潔先生の大作
「海道東征」を聴くことになります
ワタシはとある縁でSP復刻盤による「信時潔作品集成」という大変なものを所有しております
とはいうものの、それほど信時作品の信奉者でもないので、今まで聞かずにいましたが、
今回事前学習のため木下先生指揮の演奏の記録を拝聴いたしました
因みにこの復刻盤CD全集の解説に畑中先生の「私的信時潔小論」という一文があり、なか
なか面白い内容なので、海道東征初演のための稽古風景の部分を以下に抜粋して引用
します
『この日の最後の稽古で、第四章「御船謡」の後半、（中略）民謡風な個所へ来た時、信時
先生は席のうしろから駆け降りんばかりに、ドドッとステージの下へ来られ
「皆さん、その”ヤ”というかけ声は何ですか。蚊のなくような声はいかん。もっとからだから
大きく出してください。こうです」
と、大きな声を限りと「ヤァッ！！」と叫んだのである。これには一同腰を抜かさんばかりに
おどろいた。（中略）この「ヤァッ」のかけ声は、それまでの甲高い声の信時ヴォイスからは
想像もできない”ハラから出た声”の迫力であった。まさに「明治の古武士」が空へ向かって
咆えたのである。
木下先生が「みなさん、腹の底から声を出してもう一度」と棒をふりおろした瞬間、奏楽堂が
ウォーンと残響した時のおどろきが今もって忘れられない。』
さて、斯くの如く万全の準備をして本日の本番に及びましたが、詳細は会場におられた（休憩
時間にお会いしました）ハイドン�兇気鵑離屮蹈阿僕莉気△燭蠏悩椶気譴襪隼廚い泙垢里如�
そちらをご参照ください（ハイドン�兇気鵑郎Ｆ�で3回目だそうです）
第1回レポート→ http://blog.goo.ne.jp/katsura1125/e/23eeb6791379cf75f2b8256c19b5a085
第2回レポート→ http://blog.goo.ne.jp/katsura1125/e/1d3bccb8b378b66d659d47631d646aea
正直なワタシの感想は、やはり古風なことは否めないな
それにワタシは決して皇国史観の持ち主でもありませんし、ちょっと身の置き所のない思いも
したのは事実であります（公演プログラムに櫻井よしこ女史が一文を寄せていたことでも
お判り頂けると思います）
演奏後に、アンコール代わり（？）として信時作品である学習院院歌と、「海ゆかば」が演奏
されましたが、いい曲であるとは思うものの、ワタシの母は「これを聞くとぞっとする」と
申しておりましたのを、どうしても思い出してしまいます（母は戦争未亡人でしたから）
ワタシが信時作品で掛け値なしに好きだと言えるのは、小学唱歌の「ポプラ」です
実はかなり最近までこの曲が信時作品だとは知らなかったのですが、昔から好きな曲で
まっすぐ凛として聳え立つポプラのたたずまいに相応しい曲だと思いますし、それはまた
信時作品の作風そのものだと思います
この歌をアンコールとして全員で合唱すればよかったのに（その筋が納得しないだろう）
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