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2017年12月09日21:32

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デニス・マツーエフリサイタル@武蔵野市民文化会館

ワルギエフ指揮のマリインスキー歌劇場管弦楽団でソリストとして来日中のマツーエフが
単独では今日のここでだけリサイタルを開くということで、吉祥寺まで行って参りました

マツーエフの名前を知り、その演奏を聴いたのはスカパーで放映された2012年ヴァルビエ
音楽祭での驚異的ライヴの実況映像でした
 http://www.classica-jp.com/program/detail.php?classica_id=CE1308

同じロシアのピアニスト、ホジャイノフのコンサート日記で引き合いに出しましたが、全く
芸風が対極にあるといっていい、熊系の力量感あふれるピアニズムであります

TVでは観ておりましたが、実物は想像以上の巨漢(190cm以上ある?)、のっしのし
というか、どすんどすんと靴音高く登場します

プログラムは前半がベートーヴェンのソナタ2曲、テンペスト作品31の2と、As dur作品
110、休憩を挟んだ後半はチャイコフスキーで、ドゥムカ作品59とグランドソナタ作品37
ドゥムカはともかく、いずれをメインプロにしてもおかしくない重量級の曲目ばかり
その打鍵力は、体型からしても納得の強靭なものです

しかし力任せではなく、たまたま身体に恵まれているからこうなったという感じ
またペダリングが絶妙で、ほとんど右足は動かしていないのですが、よく見るとペダル
から繋がる金属の棒が小刻みに震えているのがわかる
そのため、音は濁ることなく、かといってギーゼキングのような乾いたザハリッヒな音色
でもありません(この音量でペダル過剰であっては聞けたものではないでしょう)

ベートーヴェン2曲はシンフォニックで、まるでオーケストラ曲のピアノヴァージョンを
聞くがごとしでした
作品110のフーガの後半、反進行になってからはテンポアップして、ものすごいクライ
マックスを築き上げました(そのため最後の音が消える前にフライイング拍手が起こって
しまったのは、つくづく惜しまれます)

休憩後のチャイコは、前半では封印していた超絶技巧を惜しみなく繰り広げた感じ
いや、笑っちゃいます、猛烈なスピードで鍵盤を駆け巡る

グランドソナタは生で聴くのは多分初めて、こんな曲をプログラムに加える人はいない
実はワタシ身の程知らずにもこの曲の譜面を持っておりまして、中学だったか高校の
ころちょこっとだけ挑戦したことがありました
だから、ワグネルでチャイコフスキー歌曲集を取り上げた時、シューマンとチャイコフス
キーの類似性について曲目解説で触れたことがあるのですが、本日の公演パンフにも
山根悟郎という方が似たようなことを書いておられました

しかしその終楽章、ワタシがシューマンのトッカータと似ていると指摘した部分は
マツーエフの手にかかると全くの別物、ものすごいテンポで、かつてワタシが弾いた
ものの3倍くらいのスピードであります
圧倒するように弾き収めると観客は熱狂状態で、ヒューヒューの声まで出る始末

アンコールも精力的で全5曲、リャードフとラフマニノフはわかりましたが、シベリウスは
初聴、グリーグのペールギュントはメロディに聞き覚えがあったものの曲名が出てこない
最後に自作のジャズ・インプロヴィゼーションを弾くのはお約束で、キース・ジャレットが
オスカー・ピーターソンの技巧をもっていたらこうなる、というような曲想でした

TVカメラが入っており、BSプレミアムのクラシック倶楽部で2月2日放映予定だそうですから
ご興味のおありになる方はご自分の目と耳でお確かめください(スゴイですよ)

明日はゲルギエフ指揮による昼夜ダブルヘッダー公演でラフマニノフのコンチェルト全曲
という信じられないプログラムです(マチネが1,2番、ソワレが3,4番)、さすが熊系!

終演後は文化会館のすぐそばに住む伯母を訪ねる予定でしたが、芳紀102歳という高
齢で、前日アポ電を入れたところ4か月前から入院中とのこと、とにかく訪問して従姉から
その詳細を聞くこととなりました(いつ何があってもおかしくないということで、緊急連絡の
ため携帯番号を交換しました)
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