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2017年11月03日12:18

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逆境と慣習を打ち壊す選ばれし者と導きたる者が世界をかえる 『ドリーム』

選ばれし者と導きたる者が世界を変革してきた。

米ソの宇宙開発がしのぎをけずる1960年代。
宇宙開発の裏側には膨大緻密、難解な軌道計算へ挑む「黒人女性」らが存在した。

明確な差別と偏見を跳ね返し、同時に宇宙を夢見る希望で感動を呼ぶ。
「マーキュリー計画」*1 の実話をベースにポイントをわかりやすくおさえた良作だ。

キャサリン(タラジ・P・ヘンソン)、メアリ―、ドロシーは天才。
彼女らは数学の神たちへ選ばれし者だ。*2
だが、その天才の仕事を「人種」と「女性」への差別が妨害する。

これはなにも当時だけとかぎらない。
合理的で公平的ではない視点や感情が才能を押し止め、殺し、
社会や他者に届く貢献を遅延させてしまう。
結果、人類の進歩は停滞する。

白人の仕事場に有色人種のトイレは存在せず、キャサリンは、そのたび席をあける。*3
彼女のふれたコーヒーカップとポットにはだれもさわらない。
ならその慣習と偏見を白人の側で打ち壊し、導く者が必要だ。

計画のリーダー、アル・ハリソン(ケビン・コスナー)はきびしいが、
計画の成功に能力を最大の判断基準へ置く。
そのためハリソンは白人用トイレの標識をハンマーで打ち壊し、
「黒人」「女性」の垣根を超えキャサリンを重要な会議へ参加させてしまう。

選ばれし者だけで世界の変革はならず、彼等を導く者が必要だ。
それこそ現実でも物語でも。

同時に選ばれし者と導きたる者が差別と偏見の感情がないことも“また”。*4


※1 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%83%BC%E8%A8%88%E7%94%BB

※2 飛び級で進学する、小学校低学年で高等数学を解く、など。

※3 そもそも白人棟と黒人棟、当時は職場が明確に区別されているわけだ。彼女は能力を評価され白人の職場と男性が大半をしめる職場で業務を行う。……が、そもそも白人専用の建物に有色人種の洗面所とトイレなどない。そのため彼女は白人棟からはるかにはなれた黒人棟のトイレへ走り回る。その場面すら――彼女の感情が爆発するまでコミカル/陽気な作風を全面に押し出す作品だが、ひどい話である。

※4 英雄や偉人は才能あふれるけど、結局一人で英雄や偉人になるわけではないのだ。現実でも物語でも、それは“真理”である。同時に彼等最大の才能は、偏見や差別の感情をもたず、物事を公平・冷静に判断可能な視点と行動、心に抱く勇気なのかもしれない。
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