『シェーン』の台詞を引用する本作は西部劇的で、
一方では過酷な人生に家族をもてなかった3人が寄り添う物語だ。
そうして結末においてX-MENシリーズのアイコン、
ローガン/ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)は世界から退場する。
2029年。ミュータントは激減し絶滅に近い状態。
体内へヒーリングファクターを宿し異常な長寿を持つローガンも例外ではなかった。
年老い痴呆へと苦しむチャールズ/プロフェッサーXの世話を行い、
車の送迎で生計をたてるローガン。*1
物語は、ローガンが、自身を同じ能力を持つ少女、ローラ/X-23と関り一変していく。
電撃や熱線が飛び交い、時間停止や異常な怪力の持ち主が本作に登場することはない。
あるとすればローガンのアダマンチウムクローのみ。*2
地味な展開だ。
そのかわりにゴア描写はいままでにないほど残酷。
残酷さが3人の過酷な旅路を象徴する。
映画としてはかならずしも新味があるわけではない。
3人の関係は父、娘、祖父の疑似家族で、
衝突や和解を繰り返しながらも本当の家族以上の絆を得る。
チャールズがローガンに語る「これこそ幸福と家族だ」の台詞は胸を打つが、
その言葉はきっとチャールズ自身にもかかっているのだろう。
初作から17年。ローガンの退場でX-MENシリーズは一区切りをむかえた。
フランチャイズが今後どう展開するかわからないが、*3
とりあえずいまは誇り高い戦士の最後へと祷ろう。
ありがとうウルヴァリン。
※1 正直なところ映画は老齢(能力を喪失しかけている)の設定を借用しているのみ。ただ、『オールドマン・ローガン(
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%B3)』を原作にするため映画のローガン/ウルヴァリンは肉体的にも精神的にもボロボロだ。
※2 一応、プロフェッサーXのテレパス能力や一部ミュータントが能力をしめすが、空を飛び雷が巻き起るといったハデな能力は一切ない。
※3 2018年(来年)を予定にX-MENシリーズのフランチャイズは数本の新作映画を用意している。ただ、スピンアウト形式の内容ばかりだ。唯一以前とつながりがあるシリーズが『X-MEN: ダーク・フェニックス(原題)(X-Men: Dark Phoenix)』だが、この作品は『X-MEN: アポカリプス』に続編に近い過去の話だ。
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