「真珠採り」が42年ぶりに再演されるということで池袋まで行って参りました
いつもは当日券を求めるのですが、今回は目的があるものですから、早々とワグネルのウェブ
サイトから申し込みフォームを使って予約いたしました（希望通り通路側の席が用意されていた）
会場の東京芸術劇場は緞帳がなく、ステージごとの入れ替えが丸見え
指揮者によって指揮台の高さを変えたり、ピアノの位置を変えたり、合唱のフォーメーションを
変えたり、ピアノの蓋を全開にするか半開にするか、こだわり方に感心しました（ちょっと呆れも）
恒例により開演に先立って演奏される塾歌を聴いて、その発声が整っていることに驚きました
ここまで揃った音色の年度はかつてなかったのではないでしょうか（癖のある声がいない）
続く本ステージもその通りで、破綻なく安心して聴いていられました
また発声のみでなく、表現力もワタシどものころと比べて格段に進歩しているようです
当時は本当にお手本を聴こうにも、情報が少なすぎましたからね
曲も選択の余地が広がっておりますが、それでも今回の定演は編曲ものばかりでした
まぁ、男声オリジナルだから良いというものでもないですから
邦人作品が2ステージありましたが、いずれも初めて聴く曲で、ちょっと作風が統一されていない
様に感じました（ポピュラーソングの合唱編曲のようでいて、ときおり前衛的なピアノが入る）
曲は曲として、今回客演指揮の雨森文也さんは、カリスマと呼ばれるだけあって、大変すぐれた
指揮ぶりでした（単に拍をきざむのではなく、音楽が切れることなく緊張が持続する）
これは本番だけ振ってできることではなく、練習段階で指揮者の意図が徹底しているのでしょう
形だけ真似てもこうはいかないと思います
さて、肝心の最終ステージの「真珠採り」でありますが、指揮者の佐藤さんから予め「編曲に
手を加えるかもしれませんがご了承ください」と釘を刺されていたので、必要以上に耳を
そばだてておりました
けれど、ヴォーカルの部分は聞いたところでは特に改訂を加えたとは思えませんでした
むしろオリジナル編曲に忠実で申し訳ないくらい
違っていたのは主に伴奏部分で、ワタシの時には演奏時間が20分を切るように、できる限り
細かくカットしていたのを、（ビゼーの）原曲通りノーカットで演奏していました
また、ナディルのロマンスで終わらせず、「偉大なる神ブラーマ」をリプライズさせエンディング
としていましたが、これはプログラムのどこに置かれるかによって異なる演出が必要という
ことで（ワタシの時は第2ステージで、消え入るように終わらせた）、妥当なものと思います
二人のソリストは鵜山君・鈴木君に遜色なく、42年目にして再演される意味がありました
ナディルを歌った河野君は、ロマンスの2番のところでひっくり返ってしまいましたが、
これは声楽的に破綻を来したというよりは、感極まってのことでしょう
思えばワタシもソリストには過大な負担を強いることをしてしまったのだと反省させられました
演奏終了後には今回のステージを演出した鵜山君が舞台上に呼び出され、インタヴューを
受けていました（ワタシはいつ立たされるかヒヤヒヤしていましたが、客席のどこにいるか
わからないのですから、幸いなことに指名を受けることもありませんでした）
鵜山君曰く、「今回は演出で色々要求しましたが、自分の時には何も考えていなかった」
これは全くワタシもその通りで、冷汗三斗の思いでありました
アンコールは雨森さんが三善晃編曲の「夕焼け小焼け」、佐藤さんが「稀代の名曲」と前置き
して「柳河」（夕焼け小焼け繫がりか）、学指揮の野口君は聴いたことのない曲でしたが、聞き
取った歌詞を基に調べたら案の定タダタケで、「追憶の窓」から「雨後」という作品でした
ステージストームはいつもの通り
「我ぞ覇者」で「早稲田を倒せ」の部分をモルトルバートするのはワタシが始めた「悪習」で
これに異を唱えるOBもおられます（such as ハイドン�兇気鵝�
でも「丘の上」で最上級生がゾリを担当するのは（ワタシが始めたことではありません）、
いつもながら胸を打たれるシーンで、これは末代まで伝えてほしいものです
ワタシの席は3階の天井桟敷だったので、終演後降りてくると知った顔はありませんでした
（吉川会長夫人から声掛けはされましたが）
なのでそのまま、日曜ということで池袋のグレート・インディアでほうれん草とチキンのカレー
を食べて帰ってきてしまいました
まぁ個人的懐旧にふけるにはその方が良かったと思います
set list
1. A.ドヴォルザーク：ジプシーの歌
指揮：佐藤正浩/ピアノ：前田勝則
2. 千原英喜：ある真夜中に
指揮：野口遼太/ピアノ：永澤友衣
3. 松本望：二つの祈りの音楽
指揮：雨森文也/ピアノ：松本望・平林知子
4. G.ビゼー：真珠採り
指揮：佐藤正浩/ピアノ：前田勝則
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