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2016年12月14日21:53

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The Entertainer〜都響第821回B定期

先日ケネス・ブラナーの冬物語を拝観いたしましたが、同じブラナー・シアター・ライヴの
シリーズの一つ、ジョン・オズボーン作エンターテイナーを本日観てきました@シネマズ川崎
公式ウェブサイトではこの作品に関する解説はなく、粗筋もわからない
Wikiにはジョン・オズボーンの項目だけはあるが記述は一切なし
オズボーンと言えば代表作「怒りを込めて振り返れ」なのですが、単に題名を知っているだけ
で、これも知識は皆無です(今年1月に新国立劇場で上演されたと後で知りましたが、鵜山君
の演出でなかったので見落としておりました)
※12.21付記:「怒りを込めて振り返れ」の上演は2017年7月でした

というようなまっさらの状態で拝観しました
ミュージックホールの二流芸人である(らしい)主人公アーチーと、元芸人の父(であるらしい)
ビリーと、妻(であるらしい)フィービーが三人で暮らしている(後で息子のフランクも一緒に
暮らしている「らしい」ことがわかります)ところへ、娘のジーンが訪ねてくるところから物語は
始まります…という具合に登場人物のセリフからすべてを判断するという作業が続きます

すべては、この家族の暮らしている部屋と、ミュージックホールのヴォードビルショウが交錯
する形で進められていきます

猛烈なスピードで機関銃のように発せられるセリフはコクニー訛で、この家族の階級が
わかるしかけです(マイフェアレディを観ているので、ワタシにもそれくらいはわかります)
その会話の内容はことごとく不平・不満・愚痴で、どうやらそれを見せるのがポイントらしい

途中で20分の休憩があり、その間に画面にはクイズ問題が映し出され、その答えがキー
ワードとなっていることが「作品解説」となっています(トイレに立った人は見逃しただろう)
スエズ動乱を時代背景として、ミュージックホールの衰退(映画やTVやロックンロールの
台頭)、大英帝国の没落、天候と並ぶ英国の悩みは「階級」であることなどが示されます

なるほど

そのいずれにも満足な知識や共感があるわけではなく、理解することは放棄して、あとは
ひたすらオズボーンの作劇術と主役を演じるケネス・ブラナーの演技力を楽しみました

帰宅してから英語版Wikiでオズボーンとエンターテイナーの解説を(苦労しながら)読んで
ようやく部分的ではありますが腑に落ちた次第です
初演はあのローレンス・オリヴィエだったそうです(画像1の左側)

夜はサントリーホールで都響の定期
首席客演指揮者のヤクブ・フルシャにより、ドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲とマーラー
の1番というプログラム

都響はこれまでも歴代の首席指揮者によりマーラーチクルスを行ってきましたが、現監督
マエストロ大野は、すべてを自分で振ることはせず、都度客演を招聘する方針のようです
すでにマエストロは4番を振りましたが、5番はアラン・ギルバートに委ねました

まずはドヴォルザークで、ソリスト シュパチェクはチェコフィルの元コンマスという経歴の
持ち主、フルシャのご指名でしょうね、気心が知れているのでしょう
ドヴォコンといえばチェロで、このヴァイオリンの方はそれほど知名度がない、聴いてみて
わかる通り、民族主義的ではあっても、これといった魅力的メロディに乏しい
作曲を依頼して、あれこれ注文を出したと言われるヨアヒムが結局公開で弾くことは
なかったというのも、なんとなくわかる気がします
シュパチェクの使用した楽器は1855年製ジャン=バプティスト・ヴィヨームというものだ
そうですが、なかなか渋めで派手さはないが、深くしっとりした音色で、耳に心地よい

ソリストアンコールは「イザイ」という作曲者名は聞き取れましたが曲名はちょっと不明
Dies Iraeのメロディーが聞かれる、技巧的な曲でした
休憩時間に発表された曲名について後で調べたら、この無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番
終楽章には「Les furies」という副題がついているらしく、これは聞き取れないよね
フルシャ氏もホルン奏者の隣の椅子に座って聴いておられました

続くマーラーの1番は若きフルシャに打ってつけ、こうなるであろうというこちらの読みが
次つぎ的中していくという感じです
巨人というタイトルはあまりピンと来ず(マーラー自身もこのタイトルは削除している)、
やはり「さすらう若者の歌」からの引用がある通り、あふれ出る青春を感じさせ、それが
いかにも好青年の風貌のフルシャにふさわしい(画像3)
容姿だけでなく、バトンテクニックもなかなかのものだと思います

都響も自家薬籠中という感じで、終楽章のホルンに(さすがに)ちょっと乱れがあった他は
安心して演奏に浸りきることができました
半身に構え、万歳するような格好で決めるフルシャお得意のポーズで振り終えると
一瞬の静寂の後はものすごいBravoの嵐で納得

夕食はいつもの大戸屋でサバの塩焼きを
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