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2016年11月29日20:37

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ヘンリー4世第1部 ”混沌”@新国立劇場

7年前のヘンリー6世三部作一挙上演は4年前のリチャード3世に続き
今回の日記標題作を上演までたどり着けました
本日はその第1部であります

ヘンリー4世については、既に楠美津香さんの一人芝居で度々観ており
ますが、純正調のシェイクスピア劇としては今回が初めて
作品自体については、もう何度も日記で取り上げておりますので、今回
公演に関して多少コメントを

まず、座席ですが、Atre会員先行販売であるにも拘らず、しかも平日マチネ
であるにも拘らず、ゲットできたのは2階上手奥という場所でした
チケットには「注釈付き2階席」となっており、すなわち「訳アリ」の席という
ことで、実際に席についてみると舞台奥と上手側の一部が見切れております
しかも今回の公演は客席内通路でも演技する「鵜山式」演出なので、それも
上手側は観ることができません

座席表を見ていただければわかりますが、客席の前方部分を取り払って
半円形状に舞台をせり出した構造になっており、まぁそこで演じられる限り
では鑑賞に問題はありません
ただ、セリフはかなりPAで拾っており、客席でのセリフはPAを通していない
ため、移動しながらの時は声が突然大きくなったりします(この辺り批判は
あるかもしれません)

ヘンリー6世からのキャスト、あるいは文学座などの劇団所属の役者さんは
発声訓練が行き届いていて、特に聞きづらいという事はないのですが、肝心
のフォールスタッフを演じた佐藤B作さんは小劇団出身のためか、稽古段階で
早くも声をつぶしてしまったようで、かなり耳に苦しいセリフでした
フォールスタッフは容姿や仕草だけではその魅力が発揮できません
特にワタシはオーソン・ウェルズのDVDを観ておりますので、B作さんに対し
てはちょっと点が辛くなってしまいます
 ※シアタートークでは本人も自覚しているようで、耳鼻咽喉科に通ったり、
  鍼を打ったりしていると話していました(浦井君と喉を替えて欲しいと)

この芝居は、王軍団、反乱軍団、下町軍団と3つのグループに分かれ、それ
らが入れ替わりステージに登場する、ちょうど「ナクソス島のアリアドネ」の
ような構造になっています
これを今回の鵜山演出では、場面転換もなく、同一の舞台装置で一方の芝居
が行われているときに、別の場面がすでに始まっているという具合で、まさしく
町人貴族の出した無理難題を実地に行っている感じです

これらはいずれかが善で、他方が悪というようなわけではなく、鵜山君の言葉
を借りれば「善悪二元論というよりは、その葛藤がエネルギーとなっている」
ということになっています

楠さんの一人芝居は、ストーリーはわかりやすい反面、こういう重層構造は
やはり多数の役者が入り乱れて演じられて初めて実感できます
本日はシュールズベリーの戦いでのアクションシーンがあり、見せ場もあり
ましたが、明日の第2部はいよいよフォールスタッフとハル王子の決別という
ヘンリー5世への導入の場面となります(王の葛藤の種がまかれる)

終演後のシアタートークでは、全員が声をそろえて「第2部も観てください」
と言っていましたが、当然ですね

昨日は都響の日記作成で睡眠が充分でなく、正直のところ今日の観劇の
前半は意識が飛びそうになったので、今日はもうこんなところで日記を締め
くくって早めに寝ます(演じる方もスタミナが必要でしょうが、観る方だって)
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