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2016年11月06日18:02

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大沼徹バリトンリサイタル@サントリーホール ブルーローズ

ワタシのごひいきで、すでにこの日記にはたびたび登場する二期会期待の
若手バリトン大沼徹さんのリサイタルがありましたので、本日行って参りました

大沼さんを初めて聞いたのは、これまたここに書いた通り、ちょうど10年前です
日本声楽コンクールの入賞者記念演奏会で耳にしたとき、「なんでこれで3位
なんだろう、審査員の耳とセンスを疑うね」と思ったものですが、その通り二期会
オペラ研修所マスタークラス終了時は最優秀賞を受けております

今回は第21回五島記念文化賞のオペラ新人賞受賞者による研修終了成果
発表会なのだそうです

すでにオペラではイアーゴ、ヨカナーン、アルフィオ、ユピテル、今年のクルヴェ
ナールを拝聴しております(いずれも重要な役どころで、まだ30代なのに)
去年と今年の神奈川ゴールデン・コンサートではオムニバス形式で歌曲を
数曲聴くのみでしたので、単独リサイタルは本日が初めてです

結論から言うと、期待にたがわない大変優れたものでした
第1曲目のシューベルト作曲「春に」冒頭の「still…」という歌い出しからして
背筋が寒くなるくらいの柔らかな美声で、オペラばかりではなく、リートにも
並々ならぬ力量であることがわかります

それは続く魔王の「Gewalt!」という言葉の恐ろしさ、シューマンの「月の夜」の
官能、シュトラウスとヴォルフの諧謔味でも余すことなく伝わりました
シュトラウスでは人を食った演技に客席から笑い声が起こります
※「月の夜」の河原さんの絶妙なピアノも聴き物でした

休憩を挟んで、ソプラノの安井陽子さんをゲストに迎え、オペラのアリアを
ここで見せるドラマティックな演唱はリートとはまた別の世界ですが、
大沼さんの演技力が遺憾なく発揮されていました

アンコールはシューベルトのAn die Musikで、これは飛び道具みたいなもので
涙腺が緩んでしまいます
「最後に1曲歌います」と言ってのシューベルトだったのですが、歌い終わって
ピアノの譜面台には新しい楽譜が広げられている
曲目紹介無しにピアノが弾き始めると、それはロッシーニ
10年前にワタシを唸らせた「フィガロ」を歌いました

いやもう、あっぱれな歌唱で、しかしそれは既に10年前に今のレヴェルに
達していたのですね
繰り返しますが、あのときの声楽コンクールの審査員はどこに耳をつけて
いたのでしょうか(彼を押さえて優勝したソプラノはいまいずこ?)

ワタシは当時すでに、今日の彼の姿を予見していましたよ(自慢)

終演後は、遅い昼食をアークヒルズ3階の博多ラーメン「たかくら」で
あっさり豚骨「一番釜」をいただきました(夕食までの繋ぎなので)

本日のset list
春に/魔王:シューベルト
魔法の角笛を持つ少年/月の夜:シューマン
なにも/君は我が心の冠/なんて不幸な僕:シュトラウス
鼠捕り:ヴォルフ
− 休憩 −
ファルスタッフより「夢か、まことか」:ヴェルディ
リゴレットより「慕わしい人の名は/悪魔め、鬼め/お父様! おおジルダ」:ヴェルディ
死の都より「我が憧れ、我が幻」:コルンゴルト
アンコール
楽に寄す:シューベルト
私は町の何でも屋:ロッシーニ
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