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2016年11月03日22:29

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てがみ座公演、舞台「燦々」ちょい感想

 劇団てがみ座公演「燦々」という舞台を観ました。時代は江戸時代。有名画家の葛飾北斎の娘・葛飾応為が主人公。彼女が応為と名乗る前の青春時代の物語。若かりし頃の彼女の名前はお栄(えい)。有名画家・北斎の娘として幼い頃から筆を握り、卓越した才能を見せていました。
 しかし父の北斎からは「お前の絵は、誰かの絵の真似でしかない。お前にしかかけないものを描かない限り、一人前とは言えない」と言われ、なかなかそういう絵がかけずもがき苦しむ彼女。様々な人たちとの出会いや交流を経て、彼女は自分にしか描けないものは何なのかを探っていきます。
 江戸時代という封建時代、絵の才能を持っていても、女性が画家に!?と疎んじられ、身分制度の壁もあり、苦悩の連続。しかし、周りには自分と同じように、いや自分よりも過酷な人生を生きている人々がいる。そのような人たちとの出会いから、彼女は自分が描きたいもの、描くべきものを探し出していきます。兄弟子が彼女に言った言葉「とにかく描いて描いて描きまくれ。描きたいものは描いてから分かる」が凄く印象的でした。
 江戸時代という現代から遠い時代の設定ですが、今の時代にも通じるものがありました。それは「才能」の問題。お栄自身、自分の才能には懐疑的ですし、彼女の同僚には、自分の才能の無さを周りに八つ当たりするような、現代にもいるような奴も出てきます。誰しもが通る、自分の才能を直視しいかに受け入れていくかという問題も描かれていて、現代人が見ても十分に共感でき、実際、僕もこの部分に凄く共感して、この舞台は良い舞台だと思いました。
 自分の才能に懐疑的で、自分が描きたいものが何なのか分からず七転八倒し、でも絵が大好きで絵を描かずにはいられない凄くエネルギッシュなお栄の役を三浦透子さんが体当たりで演じていて非常に好感が持てました。女性の人、そして自分の才能問題に直面している若い人には特に心に響く作品だと思います。
 追伸。お栄の青春時代の話だから、もちろん淡い恋の話も出てきます。そして、僕が一番印象に残ったのは、彼女が花魁を描く場面。一見華やかな花魁。だが花魁になった女性も実は過酷な人生を背負っている。お栄はその光と闇を描こうと苦闘した場面がジーンときました。
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